米中間の対立が一層激化する中、日本は外交と安全保障において慎重なバランスを保つ姿勢を見せている。トランプ次期大統領の就任が近づく中で、対中関係や国際秩序への影響が世界的に注目されている。
米中対立の背景と展開
米中対立は、貿易摩擦から始まり、現在では安全保障や技術覇権争いにまで広がっている。トランプ氏は対中政策の強化を公言しており、対中関税を最大60%に引き上げる方針を示した。また、AIやハイテク分野では、中国共産党(中共)が国策として技術革新を推進し、半導体や量子コンピュータなどで競争力を強化している。一方、米国は知的財産権の保護や供給網の安定を掲げ、対抗措置を強化している。この分野では特に、5GやAIなどの先端技術が米中間の覇権争いの主戦場となっている。
さらに、中共は南シナ海や台湾海峡での軍事的プレゼンスを拡大し、これに対抗してアメリカはインド太平洋戦略を掲げ、地域の同盟国やパートナーとの連携を強化している。このような中で、米中対立が経済、軍事、外交の各分野において深刻な影響を及ぼしている。
石破政権の対応と日中関係
石破茂首相は、日中関係において対話と安全保障の両立を重視する姿勢だ。9日、自民党の森山裕(もりやま ひろし)幹事長と公明党の西田実仁(にしだ まこと)幹事長は石破首相と会談し、13~15日の日程で中国を訪問し「与党交流協議会」に参加することを報告した。この協議会では、日本産水産物の早期輸入再開を求めるとともに、双方の利益を追求する「戦略的互恵関係」の推進を確認し、政府間対話の基盤強化を目指している。
また、石破茂首相は、10日、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相と会談し、中国共産党(中共)の海洋進出を念頭に、安全保障協力を強化することで一致した。さらに、エネルギー供給や脱炭素など経済分野での連携を深める方針を確認した。日本政府はマレーシアを「戦略的に重要な同志国」と位置づけ、海上保安機関間の連携強化を進めている。
同日、中共海警局の船4隻が尖閣諸島周辺の接続水域で確認された。これで53日連続の出現となり、地域の緊張が続く中で、石破政権は中共との対話を重視しつつ、安全保障体制の強化を図る姿勢を明確にしている。
トランプ政権と同盟国への圧力
トランプ氏は、「無料の安全保障はない」という姿勢を明確にし、NATO加盟国に対して防衛費負担増を要求した。同様に、日本に対しても自衛隊の予算拡大を求め、韓国には在外米軍駐留費の大幅な増額を迫った。これにより、同盟国は自立的な防衛体制の構築を余儀なくされている。
米中対立の激化とトランプ氏の政策は、世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性がある。関税引き上げや技術覇権争いにより、グローバルな供給網が混乱し、経済成長が鈍化する懸念が指摘されている。また、国際秩序の再構築が進む中、各国は外交政策の見直しを迫られている。
石破氏は、米中間の対立が地域に及ぼす影響を最小限に抑えつつ、戦略的な同志国や同盟国との連携を強化することで、日本の国益を追求する姿勢を示している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。