日本の景気の現状 日銀支店長会議1月報告

2025/01/12
更新: 2025/01/12

日本銀行は2025年1月9日に支店長会議を開催し、日本の景気状況について報告を行った。報告によると、日本全体の景気は緩やかに回復しているか持ち直しているとされている。前回の2024年10月の会議と比べて、9つある地域のうち2つの地域(東北、北陸)で景気の判断が上向きになった。

企業の設備投資については、建設コストの高騰や人手不足の影響で一部に遅れがみられるものの、多くの分野で積極的な投資が続いている。特に、人手不足への対応や生産性向上を目的とした投資、ITやAI関連の需要拡大を見込んだ投資が目立っている。

個人消費に関しては、賃上げの効果や外国人観光客の需要増加により、サービス消費が好調である。観光、宿泊、外食などの分野が特に堅調だ。また、都市部の百貨店では高額品の販売が好調を維持しており、冬物衣料品の販売も増加している。一方で、スーパーなどでは物価高の影響で消費者の節約志向が続いているため、今後の動向に注意が必要だとしている。

生産面では、一部の素材で生産調整の動きがあるものの、IT関連製品ではAI関連需要の増加により増産の動きがみられる。自動車関連の生産も高水準を維持している。

雇用と賃金については、2025年度の賃金設定に関して、多くの企業がまだ具体的な賃上げ率を決めていない。しかし、構造的な人手不足や最低賃金の引き上げを背景に、継続的な賃上げが必要だという認識が幅広い業種や規模の企業に広がっているという。

企業の価格設定については、輸入物価の上昇を受けた価格転嫁が緩やかに続いている。人件費の価格転嫁も、以前は難しいとされていたが、賃上げ原資を確保するために実施や検討する動きが広がっている。ただし、消費者の節約志向を受けて、値上げを抑制したり、一部商品の値下げや低価格商品の品揃えを強化したりする動きもみられる。

この報告から、日本経済は全体として回復傾向にあるが、物価上昇や消費者の節約志向など、注視すべき課題も残されていることがわかる。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。