焼肉店の倒産が増加している。東京商工リサーチの報告によると、2024年の焼肉店の倒産件数は45件(前年比66.6%増)に達し、これは過去最多の数字となった。2009年から統計を取り始めて以来、初めて40件を超えた。
この倒産増加の背景には複数の要因がある。まず、経営コストの上昇が挙げられる。電気代やガス代などの光熱費が上がり、人手不足も深刻化している。次に、原材料費の高騰がある。特に輸入牛肉の価格が上昇し、和牛や野菜の仕入れ価格も高止まりしている。さらに、他業態からの焼肉店業界への進出や、大手チェーン店の新規出店の加速による競争激化も街の焼肉店の経営を圧迫している。
過去を振り返ると、新型コロナウイルス流行時には焼肉店は比較的好調だった。2020年の倒産件数は14件にとどまり、他の飲食業態と比べて少なかった。これは焼肉店の高い換気能力や「ひとり焼肉」の人気が要因とされている。しかし、現在の状況は厳しさを増している。物価上昇や競争激化により、特に小規模店舗が苦戦している。値上げも簡単ではなく、顧客離れを懸念する店舗も多い。
倒産した焼肉店の内訳を見ると、45件中40%が個人経営で、97.7%が従業員10人未満の小規模店舗だった。これらの店舗は仕入れ価格の交渉力が弱く、設備投資も困難な状況にある。報告書は、当面焼肉店業界の淘汰が続く可能性があると指摘している。特に小さな焼肉店は生き残るのが難しくなっている。
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