日本製鉄によるアメリカのUSスチール買収計画に関して、新たな展開があった。日本製鉄とUSスチールは2025年1月12日、バイデン米大統領が出した買収禁止命令で30日以内とされていた計画放棄の期限について、対米外国投資委員会(CFIUS)が6月18日まで延長を認めたと発表した。
当初、バイデン大統領は1月3日に安全保障上の懸念を理由に買収計画に禁止命令を出し、2月2日までに「買収計画を完全かつ永久に放棄するために必要な全ての措置」を講じるよう命じていた。しかし、日本製鉄とUSスチールがCFIUSに延長を要請し、認められたことで、新たな期限が設定された。
この決定を受けて、日本製鉄とUSスチールは共同で声明を出し、「買収の完了を引き続き目指していく」と改めて強調している。両社は既に中止命令の無効などを求めて複数の訴訟を提起しており、法的な対応を続けている。
一方、日本政府はバイデン政権の決定に対して非難の姿勢を示している。岩屋毅外相は1月7日にブリンケン米国務長官と会談した際、この決定を「残念」と伝えた。さらに、1月12日のNHKのテレビ番組で岩屋外相は、「日米同盟という大きなピクチャー、これはきわめて大切だから、これを崩すことのないようにこの問題に適切に対応していくことが必要だと思っている」と述べ、慎重な対応の必要性を強調した。
この問題は日米関係に影響を与える可能性がある重要な案件であり、今後の展開が注目される。両国政府や企業の動向、そして6月18日の新たな期限に向けた対応が、今後の焦点となるだろう。
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