日本製鉄によるUSスチールの買収計画は、アメリカの政治的な情勢を背景に難航している。
こうした中、新たな競争相手としてアメリカの大手鉄鋼メーカーであるクリーブランド・クリフスが浮上した。クリーブランド・クリフスはアメリカ最大の電炉メーカーであるニューコアと協力し、USスチールの買収を検討している。複数のメディアが報じた。
買収提案価格は1株当たり30ドル台後半となる見通しであり、日本製鉄が提示している1株55ドルの買収案と比較すると低い水準に留まっている。
バイデン大統領は今月、日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対して国家安全保障上の懸念を理由に禁止命令を発出した。これに対し、日本製鉄とUSスチールはバイデン大統領およびアメリカ政府を相手取り、禁止命令の無効化を求める訴訟を提起した。日本製鉄は依然として買収の実現を目指す方針を表明しており、状況は依然として流動的だ。
クリフスより高額な価格を提示している日本製鉄は、買収を成功させるためにマイク・ポンペオ元米国務長官をアドバイザーに起用している。しかし2024年11月、トランプ氏は自身のSNSで、ポンペオ氏を新政権に起用しない意向を表明し、ウクライナ支援では両氏の間に政策の方向性の違いが見られるなど対立も見られている。
CNBCの報道によると、クリーブランド・クリフスとニューコアの動きにより、USスチールの株価は一時9.4%高の37.44ドルに上昇した。また、クリーブランド・クリフスの株価は一時4.9%、ニューコアの株価も4.5%それぞれ値上がりを見せており、市場はこの提携案に一定の期待感を寄せていることがうかがえる。
中国の鉄鋼業界は世界最大の生産・輸出国としての地位を維持してきたが、近年、国内の過剰生産問題が深刻化しており、特に不動産市場の不況が鉄鋼需要に影響を与えている。政府や企業は製造投資を拡大し続けているものの利益率の低下が見られ、今回の買収の行く末は世界の鉄鋼供給に多大な影響を与えることが予想される。
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