社会問題 今も続く人権派弁護士への迫害

「死んでも屈しない」 中国獄中からの叫び 元人権派弁護士・謝陽氏

2025/01/14
更新: 2025/01/14

中国の元人権派弁護士の謝陽(しゃよう)氏の妻、陳桂秋(ちんけいしゅう)氏は、1月11日、拘束されてから3年という節目に、謝氏が獄中から出した手紙を公開した。

そこには「死んでも屈しない(宁砍头 不低头)」の決心が記されていた。

中国では権利擁護しようとする市民、それら市民を支援する人権派弁護士とその家族は、中国共産党(中共)政権から「敵視」され、残酷な迫害を受けてきており、今も延々と続いている。

迫害

人権派弁護士である謝陽氏は、中国で2015年に起きた人権派弁護士一斉拘束事件「709事件」で他の弁護士と共に逮捕され、裁判では、有罪と認定されたが、奇しくも刑は免除された。

謝氏は、2020年に弁護士資格をはく奪されたが、その後もゼロコロナ政策により封鎖された武漢から情報発信を行って、拘束された女性ジャーナリストへの支援などを行ってきた。

2021年、謝氏は湖南省の公安当局「永順公安局」前で精神科病院に強制入院させられた妊娠中の李田田(りでんでん)氏を支援したために、再度逮捕された。

 

2021年12月25日、李田田氏を支援するプラカード を掲げる謝陽氏

 

李田田氏は旧日本軍による南京事件(1937年)で、犠牲者が30万人に及んだとする中国政府の公式見解に、反する主張を支持して問題視され、中国当局に拘束された湖南省の元女性教員。

謝氏は2022年1月に国家政権転覆扇動罪の容疑で湖南省当局によって逮捕された。弁護士と面会の際、謝氏は「自分は拘置所で様々な拷問を受けた」と明かしている。

 

人権派弁護士の妻

謝陽氏の妻である陳桂秋氏は「人権派弁護士である夫のために発言をする自分も迫害されている」「自分だけじゃない、同じく人権派弁護士の妻である王峭嶺(おうしょうれい)氏や李文足(りぶんそく)氏もそうだ、その子供はいまも学校に通うことができず、家を借りても当局者によって、追い払われる」と話した。

国家政権転覆罪に問われ服役した人権派弁護士、王全璋(おうぜんしょう)氏に対する中国当局による嫌がらせが続いている。画像は王氏がSNSに投稿したもので、嫌がらせ場面の1つ。当局の回し者が王氏宅の玄関前に横たわっている(王氏のSNSより)

また、陳桂秋氏は「謝陽は10年前の709事件(2015年7月9日に始まった中国の政府弾圧事件)以降、家族と引き離され、何度も失踪させられ、不当に拘束され、拷問を受けてきた」

「謝陽は『国家政権転覆扇動』などしていない、彼はただ『被精神病』の教師を見舞い、ポスターを掲げただけ。彼が政権を転覆しようとした証拠など全く見つかっていないのに、当局は謝を恨み、彼の勾留期限を絶えず延長している。勾留延長の通知を見るたびに腹が立ってくる、これでもう10回目だ、中共当局はいつも市民や人権派弁護士を恣意的に拘束する」と訴えた。

なお「被精神病」とは精神的疾患を患っていない正常な人間を「精神病だ」と断定して、その自由を奪う中共当局のやりかたである。

 

謝陽氏の妻・陳桂秋氏(動画よりスクリーンショット)

 

「拘束は権力濫用」呉

アメリカ在住の中国人権弁護士の呉紹平氏も、「謝陽氏に対する中共当局の審理期限を絶えず延長するやり方は、権力を濫用した不当拘束であり、違法行為だ」と指摘する。

「謝陽氏は一般市民のためにその権利擁護を呼びかけただけ、どんな犯罪を犯したというのか?」「謝楊氏が獄中から発したその悲壮な覚悟は尊敬に値する」として、呉紹平氏は国際社会に対して、「謝楊氏への支援」、そして「中共による人権派弁護士に対する迫害への非難」を呼びかけている。

 

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!