米FDA 食品添加料「赤色3号」の使用禁止へ 日本では菓子などに使用 健康リスクが懸念

2025/01/16
更新: 2025/01/16

アメリカ食品医薬品局(FDA)は1月15日、食品や経口薬で使用されてきた合成着色料「赤色3号(エリスロシン)」の使用を禁止すると発表した。この措置は、同着色料に関連する潜在的な健康リスク、とりわけ発がん性への懸念を受けたものだ。

FDAは企業に対し、食品では2027年1月15日、経口薬では2028年1月18日までに赤色3号の使用を中止するよう求めている。

長年の議論を経て決定

赤色3号は、キャンディーやシリアル、一部の薬品などに鮮やかな赤やピンクの色を付けるために使用されてきた。しかし、FDAが長期間の摂取による健康影響を精査した結果、動物実験で発がん性を指摘していることが明らかになったため、今回の禁止措置に至った。

実は1990年、FDAは化粧品や外用薬における赤色3号の使用をすでに制限していたが、食品や経口薬での使用はそれ以降も継続していた。

市民団体が要請、矛盾を批判

CSPIは声明の中で、FDAが「発がん性添加物」を完全に禁止する法的義務を果たしていなかったと指摘。赤色3号は「34年以上にわたり食品、サプリメント、経口薬で使用が許されてきた」と批判した。

2022年、アメリカの食品安全や健康問題に取り組む市民団体「公益科学センター(CSPI)」と複数の科学者・団体がFDAに対し、赤色3号の全面禁止を求める請願を提出。今回の措置について、CSPIは「長年の課題を解消する重要な一歩」と評価している。

CSPIのピーター・G・ルーリー会長は声明で、「赤色3号は口紅には使用できない一方で、子供向けの菓子類には使用してきた。この矛盾がようやく解消される」と述べた。また、「食品着色料は見た目を良くするためのものであり、健康リスクを受け入れる理由はない」とも指摘した。

代替着色料と移行期間

今回の規制により、企業は安全基準を満たし、消費者に似た視覚的な魅力を提供できる代替着色料を見つける必要がある。FDAは、企業が代替着色料の採用や製品改良を進めるための移行期間を設けている。期間中、既存の在庫消化を許可し、企業からの質問や規制対応のサポートも行う予定だ。

食品で赤色3号を使用する企業は2027年1月15日までに、経口薬に使用する企業は2028年1月18日までに製品を改良する必要がある。

消費者には、製品ラベルに記載された「赤色3号」や「エリスロシン(E127)」といった表記を確認するよう注意を促している。FDAによれば、すべての対象製品が市場から完全に撤去されるには一定の時間を要する見通しだ。

FDAは、対象製品が市場から完全に姿を消すまでには一定の期間を要する見込みだと述べた。

日本では、赤色3号は食品添加物として認可されており、「赤色102号」という名称で使用している。この合成着色料は、飴、ゼリー、飲料、かき氷シロップ、漬物や菓子類などの食品に使用し、鮮やかな赤色を付けるのに効果がある。また、耐熱性が高く色が落ちにくいことから、加熱工程を含む製品にも適している。

日本でも、赤色3号に発がん性を指摘する動物実験の結果などが知られているが、現時点では「規定の範囲内での使用は安全」としている。そのため、全面禁止には至っていない。

大紀元はFDAにコメントを求めたが、記事の公開時点では回答は得られなかった。
 

エポックタイムズ記者。テネシー州をはじめとする米国南東部を担当。