1月16日、SpaceXはテキサス州で「スターシップ」ロケットの7回目となる試験打ち上げを実施した。しかし、宇宙飛行中に地上との通信が途絶え、計画外の空中分解が発生したとみられている。一方で、SpaceXは超大型ブースターを「箸」のような巨大なアームで着陸させることに成功した。これでブースター回収の成功は2回目となる。
SpaceXのライブ配信によると、打ち上げから約9分後にスターシップはデータの送信を停止したという。SpaceXの品質システムエンジニアリング上級マネージャーであるケイト・タイス氏は、「スターシップとの通信が途絶えたことを確認した」と述べた。
また、SpaceXの広報マネージャー、ダン・ホット氏によれば、スターシップは超大型ブースターと分離した後、約8分後にテキサス州のミッションコントロールセンターとの通信を失った。「通信が完全に途絶えたことから、ロケット上段で異常が発生した可能性が高い」とホット氏は説明している。
SpaceXは今回の通信途絶について詳細な説明を行っていないが、飛行中に通信が失われた場合、ロケットの分解が発生した可能性があるとされる。
超大型ブースター 発射台へ無事帰還
スターシップは東部標準時間16日午後5時30分過ぎ、テキサス州ブラウンズビル近郊のSpaceX専用施設「スターシップ基地」から打ち上げられた。その後、数分間で、超大型ブースターが宇宙から地球へ降下。約7分後、ブースターはエンジンを再点火して降下速度を制御し、発射台の巨大な機械アームに正確に着地した。このアームは「箸」のようにブースターを掴む仕組みとなっている。
今回の成功は、SpaceXが試験飛行中にこの方法でブースターを回収した2回目の事例である。前回の試験飛行では、ブースター回収作業は実施されなかった。
今回の試験飛行では乗員は搭乗していなかったが、SpaceXはロケットの貨物区画に「Starlink模擬衛星」10基を搭載し、宇宙到達後にこれらを展開する計画だった。この試験は、より大型で重量のある次世代Starlink衛星の打ち上げを目指した重要な技術評価と位置付けられている。
世界最大・最強のロケット
スターシップは、これまでに打ち上げられた中で最も高く、最も強力なロケットである。全高は403フィート(約123メートル)、直径は約30フィート(約9メートル)に及び、2023年4月以降6回の試験飛行を実施しており、その頻度は増加している。
ブースター部分は高さ232フィート(約71メートル)で、底部に33基のラプターエンジンを搭載。総推力は1670万ポンド(約7500トン)に達し、NASAのSLSロケットの推力(880万ポンド)の約2倍に相当する。
スターシップ本体は高さ171フィート(約52メートル)で、6基のエンジンを搭載している。そのうち3基は地球大気圏内用、残りの3基は宇宙空間での使用に適している。
飛行計画と技術改良
SpaceXの事前説明によれば、今回の試験ではスターシップが地球を半周した後、大気圏に再突入し、インド洋に落下する予定だった。また、新型スターシップは前モデルより約2メートル高く設計され、重要な技術改良が施されている。
しかし、通信が途絶したため、計画通りの飛行は実現せず、宇宙空間で解体した可能性が指摘されている。今回の試験飛行は、SpaceXが次世代宇宙技術を実用化するための重要な一歩と位置付けられていた。
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