1月16日、オーストリアのプライバシー保護団体「None of your business(NOYB、あなたには関係ない)」は、TikTok、Shein、小米(Xiaomi)、WeChat、Temu、AliExpressの6社を対象に、欧州連合(EU)ユーザーのデータを違法に中国共産党(中共)へ提供しているとして提訴を行った。
NOYBは声明で、中国企業を対象とした提訴は今回が初めてだと述べた。同団体はギリシャ、イタリア、オランダ、ベルギー、オーストリアの5か国で6件の訴えを提出し、規制当局に対してデータ送信の停止を求めるとともに、違反企業に対して世界的収益の最大4%に相当する罰金を科すよう要求している。
NOYBによれば、アリババ傘下の越境ECサイトAliExpress、Shein、TikTok、XiaomiはEUユーザーの個人データを中国に送信していることを認めている。一方、TemuとWeChatはデータを「第三国」に送信しているとされるが、その国は公表されておらず、中国である可能性が高いと指摘している。
「EU一般データ保護規則(GDPR)」では、データをEU外に送信する場合、受け取り国がEUと同等のデータ保護水準を保証する必要があると規定している。
NOYBのデータ保護弁護士クリーアンティ・サルデリ氏は、「中国(中共)は監視国家であり、EUと同等のデータ保護を提供できないことは明白だ。ヨーロッパ人の個人データを中国に送信する行為は違法であり、即時に停止するべきだ」と述べている。
TikTokへの国際的規制強化
アメリカでは、TikTokの親会社バイトダンスが中共と危険なほど密接な関係にあり、アメリカユーザーの個人データを窃取して国家安全保障を脅かしているとの懸念が高まっている。バイトダンスは1月19日までにTikTokを分社化しなければ、全米で使用禁止となる可能性がある。
また、フランス、オーストリア、オランダ、ノルウェーなどでは、公務員が業務用スマートフォンでTikTokを使用することを禁止している。アメリカやカナダでも連邦政府職員が2023年初頭以降、業務用デバイスでTikTokをインストールすることを禁じており、多くの州が同様の措置を講じている。さらに、オーストラリアやニュージーランドでも政府職員の使用を制限している。
先月、アルバニアのエディ・ラマ首相は、TikTokが若者に悪影響を与えているとして、2025年初頭から少なくとも1年間TikTokを禁止すると発表した。
サルデリ弁護士は、「中国企業は中共からのデータ提供要求に逆らうことができない。このため、EUユーザーのデータが国外に送信されれば即座にリスクが生じる。規制当局は迅速に行動し、基本的人権を守る必要がある」と強調している。
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