人口危機の真っただ中にある中国。結婚率と出生率を上げようと、当局はありったけの知恵を絞っているが、改善の兆しは全くない。
そんななか、湖南省懐化市にある村では「恋人を連れて帰らないと村に入ることを許さない」と書かれた、目を疑うような垂れ幕が掲げられたことで、話題になった。
動画発信者いわく、「高級車に乗ってようが、今年は彼女連れでないと、村に入れないぞ、村長がそう言った」そうだ。
中国メディアによると、この村「通道県蒋家堡村」の村民は3千人ほど、独身者は数百人、うち30代と40代の独身者は200人以上いるという。
メディアにまで取り上げられたこの村の垂れ幕、世論のプレッシャーでも受けたのか、村のトップは7日、このように回答した。
「確かにうちの村に掲げられた垂れ幕ではあるが、村民委員会が掲げたんじゃない、セルフメディアで発信をしている数人の村の若者が勝手にやったことだ。問題の横断幕は撤去した」
村トップの「弁解」については「村の若者ごときに垂れ幕など掲げる度胸はない」「うまく逃げたな」といった懐疑的な声も上がっているが、いずれにしても、関連トピックスは「結婚」「出産」といった重たい話題を再度議論させた。
「汚い手使うな」
「あんまりじゃないか! ただでさえ嫁が見つからないのに、家にも帰してくれないなんて!」
「独身者の自分は今年は真夜中にこっそりと村に入ることを計画中」
「一生、村に帰れないかも」
「うちの村も結婚しろとしつこい」
「『結婚しろ・子供を産め』って村ぐるみで迫ってくる、息が詰まりそうだ」
関連話題には、若者の共感や苦悩の声が多く寄せられている。なかには「それは都合がいい。家に帰らない理由ができた」と暗に喜ぶ若者もいるようだ。
人権侵害
「彼女を連れて帰らない人は村に入るな」の垂れ幕が掲げられる現象について、米サウスカロライナ大学の教授で経済学者の謝田氏はNTD新唐人テレビに対し、次のように指摘した。
「まったく馬鹿げている。これでは人を動物、家畜であるかのように扱っているのではないか。人権侵害だ」
「結婚しろ、子供を産め」の催促は、中国当局からの指示を受けた学校内でも行われている。
内モンゴルにある大学の教師は授業中に「女性は長生きしたければ子供を産め」と発言していたことが一時話題になった。
最後の手
余談だが、中国人の親戚はとにかく遠慮しない。
会って二言目には「結婚しないの?」「どんな仕事してるの? 給料いくら?」とずけずけと聞いてくる。
そこで「いまだ独身」や「横たわり中(失業)」と判明すれば、かなり高い確率で長いお説教が始まる。
そのため、お正月の帰省、親戚の集まりを心底恐れる若者も少なくない。そのような中国ならではの良き風習(?)のおかげで、「帰省時お助け隊のレンタル彼女」というアルバイトも存在する。
その実態は簡単にいうと、お金を払って彼女を雇い、お正月に実家に連れて帰り、親および親戚軍団にその「うるさい口」を閉じてもらう最後の一手である。
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