日本商工会議所の小林健会頭は2025年1月16日の記者会見で、中小企業の約7割が賃上げを実施する見込みだと明らかにした。また、小林会頭は「今年も昨年に近い賃上げを目指す」と述べ、2025年春闘における中小企業の賃上げ率の目標を、前年と同水準の3.62%とする考えを示した。
この見通しは、日本商工会議所が実施した調査結果に基づいている。調査によると、2025年度に賃上げを予定している中小企業は48.5%で、さらに26.1%が未定と回答している。小林会頭は、未定と回答した企業の中には大企業の春季労使交渉の結果を見てから判断する企業も含まれているとし、賃上げを実施する中小企業は七割近いとの見方を示した。
一方で、小林会頭は中小企業の経営実態について「残念ながら二極化している」と指摘した。地方の小規模事業者と比較的規模が大きい企業の間で格差が広がっているとし、小規模企業への支援の必要性を訴えた。
この賃上げの動きは、日本政府が推進するデフレ脱却と成長型経済への転換に向けた重要な一歩となる可能性がある。全企業数の99.7%を占め、就業人口の約7割を担う中小企業の賃上げは、個人消費の拡大につながり、日本経済全体の成長に寄与すると期待されている。
しかし、課題も残されている。日本商工会議所の調査では、賃上げを実施した中小企業の約6割が収益改善を伴わない中で、人手確保のための防衛的な賃上げを行っていることも明らかになっている。持続可能な賃上げの実現に向けて、中小企業の生産性の向上や価格転嫁の推進などの取り組みが求められている。
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