最近、ミャンマーにある中国系の犯罪組織の拠点「KK園区(経済特区)」に、日本人が20人以上監禁されている可能性があると報じられている。一般的にこうした拠点は中国共産党(中共)の「一帯一路」プロジェクトの一環として知られているが、実際には電信詐欺の拠点として機能しており、中共が背後で操っている。こうした拠点には年間約7万人の中国人が誘拐され、様々な手口で騙されているとの報告がある。この記事では、犯罪組織の拠点であるKK園区の暗黒面と国際社会の対応について詳しく掘り下げる。
中国の俳優である「王星」の誘拐事件が話題となり、タイ国境近くのミャンマーの町ミャワディが注目を集めている。この町は、中国の「一帯一路」プロジェクトの重要な拠点であり、中国・ミャンマー・タイの三国協力の象徴である。しかし、ここは実際には中国人をはじめ、台湾、香港、インドネシア、日本、韓国の人々が誘拐され、売買され、メールやSNSを利用した電信詐欺を強要される地獄のような場所だ。
中共は電話詐欺拠点を計画・建設し、毎年約7万人の中国人を騙している
こうした事情に詳しいテレビプロデューサーの李軍氏は新唐人の番組「菁英論壇」で、俳優の王星がタイで救出された際、彼は、自分と共に50人以上の中国人が拘束されていたと述べた。実際、王星は救出ではなく、200万元の身代金を支払って解放された。他の50人以上については、誰も関心を持っていない。
李軍氏によると、ここ数年、タイやミャンマーで行方不明になる中国人が非常に多くおり、ミャンマーの電話詐欺では、年間約6~7万人の中国の人々がさまざまな手口で騙されてやって来る。そして、これらの人々はほとんど戻ってこないのが現状で、戻ってくる人は極めて稀である。詐欺集団は被害者から全財産を搾り取るだけでなく、友人や同郷の人々を騙すように強要するという。そして使い物にならないと判断すると、公海上にある医療船に送られ、臓器を摘出されるという恐ろしい結末が待っている。
これらの情報が広まると、多くの中国人がタイへの旅行をキャンセルし、タイ側も焦りを見せた。タイのメディアは、これらの電話詐欺は中国人によって運営され、被害者も中国人であり、タイ人とは無関係であると報じた。タイの首相も、中共が望むなら、タイはすぐに軍隊を派遣して内の中国人を救出すると述べた。
この事態は興味深い。なぜタイが恐ろしい詐欺の拠点を取り締まるのに、中共の同意が必要なのだろうか。
2023年、国連安全保障理事会はミャンマー問題に関する決議を採択し、ミャンマー北部の詐欺集団と地元政府に拘束されている人々の即時解放を求めたが、中国とロシアは棄権した。
李軍氏によると、ミャワディはミャンマー東部のタイとの国境に位置し、川一つを挟んでいる。ここは電話詐欺の産業拠点と呼ばれ、KK電話詐欺拠点を含む30以上の拠点が周辺に存在する可能性がある。もう一つ有名なのは亚太新城(亚太智慧產業新城)で、これらの拠点には中共の強い影響が見られる。
亚太新城の責任者、佘智江は以前、中共華僑商人連合会の常務副会長を務めていた。華僑連合会の機関はすべて統一戦線工作部の管轄下にある。これは「一帯一路」のモデルプロジェクトとされ、中央テレビでも報道している。建設は中国国有企業によって行われ、KK園区も同様である。佘智江は後に中共と対立し、自身が中共国家安全部の一員であったことを明かした。
中国メディアの報道によると、2018年にKK園区が正式に始動し、2019年6月には、中国国家発展改革委員会(中共発改委)の副主任・寧吉喆氏が中国ミャンマー経済回廊協力フォーラムで、KK園区の建設が中国とミャンマーの協力にさらなる機会と空間をもたらすだろうと述べた。
2020年11月には、中国駐ミャンマー大使館がKK園区の投資環境と発展の展望を紹介する推薦会を開催しており、中共の大使がKK園区のために人々を集めるとは信じがたいことだ。
KK園区には中国北方重工集団、中国中冶集団、西安建工集団、中国中房集団が投資していおり、電力は中国国家電網が供給し、通信は中国電信、中国移動、中国聯通が担当している。また物流サービスは中国郵政が指定され、すべて中共政府の標準仕様に従っている。これらは詐欺拠点なのか? それとも中共政府の機関なのか?
李軍氏は、これらの恐ろしい電話詐欺の拠点となるKK園区が中共によって建設されたことを確認している。ミャンマーに長期滞在している中国人がアメリカメディアのインタビューで述べたところによると、これらはミャンマーの地方政府や警察、軍隊も手を出せない状況にあり、中共の産業であることは誰もが知っている。園区の内部は無法地帯のような状態で、何でも好き放題に行われているという。
中国の元メディア業界、趙蘭健氏も「菁英論壇」で、中共の商務部や中国国際経済交流センターと早期に接触していたことについて述べている。
趙蘭健氏は2017年、国際経済交流センターの会議に参加した際に、彼らがミャンマー向けのマクロ計画を設計していることを知った。
この計画は、中国の「一帯一路」投資プロジェクトがミャンマーに進出した後、現地の国情と結びつけて発展を促進することを目的としていた。
具体的には、ミャンマーの物流、情報、経済の流れ、経済発展の枠組みモデルが国際経済交流センターによって設計され、国家発展改革委員会を経て商務部に引き継がれ、資金と政策を提供した。
中国はミャンマーに大量の資金を注入し、その資金を受け取った中国企業は、政治家の後ろ盾を持つ大富豪や国有企業の大企業だった。
国家機関や経済設計センターは、表面的には国家機関のように見えるが、実際には統一戦線工作部や国家安全部と直接的な関係がある。多くの中共政府部門が関与し、商務部、国家発展改革委員会、国経中心、中国華僑連合会、そしてすべての官製メディアが彼らを称賛している。
2018年と2019年には、中央テレビや『人民日報』、中国僑網、中国新聞網がミャンマー北部のミャワディに関する状況を大々的に宣伝した。これは人々を欺く手段であり、多くの罪無き人々が中央テレビや『人民日報』を信じて観光に行き、人生が暗転してしまった。
趙蘭健氏は、中共の最高指導部による管理と権力者集団の利益分配が原因で、ミャンマー、タイ、中国の関係は複雑にもつれ、ますます深刻化していると述べている。
昨年、「菁英論壇」は中共の公式宣伝に誘導され、この問題が解決したと思い、メディア関係者としての宣伝や支持が良い方向に進展したと考えていた。しかし今日、さらに深刻化していることに気づいている。
根本的な原因は、中共が自らのメスで自らを手術できず、腫瘍を切除できないことだ。これは中共体制の必然的な結果であり、変えることはできない。
読者に注意してほしいのは、ジャーナリスト王志安のような人物に議論をそらされてはいけないということだ。王志安は番組で、KK園区の水、電気、ガス、通信はタイが提供していると述べ、読者を誤解させ、責任をタイ側に押し付けようとしている。しかし、KK園区は複数あり、その大部分の配置や情報、エネルギーの提供は中共から来ていることを理解する必要がある。
耿飆の息子(耿志遠)が背後のボスであり、習近平が直接指示した
李軍氏は『菁英論壇』で、現在ネット上で伝えられているところによると、これらの電信詐欺の真の背後のボスは耿志遠(こうしえん)という人物であり、彼は中共の国家安全部の出身で、中国ミャンマー友好協会の会長だ。耿志遠は友好協会の会長であり、中共が派遣した最高レベルの統一戦線工作の幹部である。
耿志遠は中共の元副総理耿飆(こうひょう)の息子で、現中共党首の習近平はかつて耿飆の秘書を務めていた。近年、耿志遠はミャンマーの政局変化や軍閥の動乱において重要な役割を果たしている。李軍氏によると、2015年から耿志遠は中緬友好協会の会長に就任し、これは習近平の指名によるものだという。
またネット上では、習近平が当時、耿志遠にミャンマーの統一戦線工作を担当するよう指示したといわれている。ポイントは、1つ目が反政府軍との連携、2つ目がミャンマーの犯罪組織の取り込むこと、3つ目がミャンマー政府の官僚や政治経済の要人の買収だった。
ミャンマーは中共との協力を選択し、国土の半分を中共が支配する
ジャーナリストの郭君氏は「菁英論壇」で、ミャンマーは独立後にアメリカが支持するASEANへの加盟を拒否し、中共との協力を選択したと述べている。初期のASEANは共産主義の浸透を防ぐための軍事協力組織であった。タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどの他の初期ASEAN諸国は国家の独立と政府の支配を維持したが、ミャンマーは加盟せず、現在は完全に失敗した国家である。したがって、中共が崩壊しない限り、ミャンマーの状況は改善されず、近年、中共の影響力が拡大しているタイやラオスも非常に危険な状況にある。
郭君氏は、ミャンマーが多くの困難を抱え、政府は国の半分しか支配できていないと述べている。残りの半分は中共が裏で支配している。
注目されるミャワディは、実際にはミャンマー北部ではなく、南部のカレン州にある。
一般にミャンマー北部とされるのはカチン州とシャン州だが、実際には南部のカレン州とカヤー州、つまりゴールデントライアングル地域の一部も、かつてミャンマー共産党が支配していた地域だ。
1960年代、中共が支援するミャンマー共産党のゲリラ部隊は最盛期を迎え、約1万平方キロメートルを占拠し、軍隊は3万人以上であった。当時、多くの下級将校は中共の訓練を受け、訓練基地は貴陽と成都にあった。その後、鄧小平がアメリカと合意し、米中が国交を樹立した後、1979年頃に中共の支援を停止した。その後、ミャンマー共産党はアヘン栽培を始め、80以上のヘロイン工場を設立した。
1989年、ミャンマー共産党内部で大混乱が起こり、ゲリラ部隊は、ほぼ全てが軍閥に分裂した。その結果、ミャンマー共産党中央指導部は中国に送られ、総書記のタキン・バ・ティンも西安に住むことになった。現在のシャン州コーカン自治地帯、カチン州の地方武装勢力は、かつて中共が支援したミャンマー共産党の部隊である。部隊には多くの中国人が含まれ、文化大革命時に農村に送られた若者や中国国内の住民も参加していた。
したがって、ミャンマーのその後の状況は、中共が東南アジアの共産党を支援し、各国政府を転覆させようとした結果の一つである。中共が最も強く支援した国は、ベトナム、インドネシア、ミャンマーの3つである。インドネシア共産党とマラヤ共産党の軍事暴動は完全に失敗し、ベトナムは成功したが、ミャンマーは現在のような状態に至った。
大紀元の主筆の石山氏は「菁英論壇」で、かつて中共が支援していた地方武装勢力には共産主義を構築するという理想主義があったが、現在の武装勢力は完全に邪悪な存在になったと述べている。
郭君氏も、初期の共産党は表面的に理想主義を持っていたが、その世代はほとんど全て亡くなり、現在ミャンマーで地方政権を引き継いでいる人々は権力と金銭のゲームに変わっていると述べている。最も重要なのは、中共が今でも彼らの後ろ盾であることである。
ミャンマーは1990年代以降、一時的に緩和されたが、中共は現在、主にミャンマーを支配し、共産主義を推進しているわけではない。中国共産党は官僚資本主義に移行し、重視しているのはお金と権力で、共産主義の理想とはかけ離れている。
ミャンマーの中共が支援する軍閥も同様で、これらの地方武装勢力は中共と密接に協力し、その協力の鍵はお金を稼ぐことである。郭君氏によれば、初期のミャンマー共産党は麻薬に依存し、その後ギャンブルに頼るようになった。つまり、売春、ギャンブル、麻薬の三つである。
現在、中共の影響力は強まり、電信詐欺や臓器狩りにまで及び、非常に暗黒な状況で、それらの場所は人間の地獄と化している。中国人が運営するいわゆる経済特区は、実際にはすべて中共が背後にいる。
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