トランプ氏と習近平が電話会談 TikTokや貿易、麻薬などを議論

2025/01/18
更新: 2025/01/18

1月17日、アメリカ次期大統領トランプ氏と中国共産党(中共)の習近平が電話会談を行い、TikTok、貿易、フェンタニル問題など多岐にわたる議題について話し合った。

トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」で、通話内容について次のように説明した。

「これは米中双方にとって非常に良い会談だった。我々が多くの問題を共に解決できることを楽しみにしており、すぐに取り組みを始めたいと考えている。通話では貿易の均衡、フェンタニル、TikTok、その他多くの議題について話し合った」

一方、中共外交部の声明によると、習はトランプ氏の再選を祝福し、双方が相互交流を重視していることを強調したとされる。また、米中関係を良いスタートに導く意向を示し、台湾問題にも言及した。

声明ではさらに、両国の首脳が戦略的な連絡チャンネルを設け、共通の重大課題について定期的に意見交換を行うことで合意したとしている。

TikTok禁止と米最高裁の判断

同日、米最高裁はTikTokの差し止めを求めた訴えを退けた。これにより、中国バイトダンス社に対してTikTokを非中国企業に売却しなければ禁止するとする法律が1月19日に施行され、TikTokアプリは全米で禁止されることになる。

トランプ氏はその後トゥルース・ソーシャルで、「最高裁の判断は予想通りであり、誰もがこれを尊重すべきだ」と述べた。また、「TikTokに関する最終的な決定は近いうちに下すが、状況を精査する時間が必要だ」と語った。

習近平、トランプ氏の就任式に韓正を派遣

トランプ氏と習の通話に先立ち、中共外交部は17日午前、習が副主席の韓正をトランプ氏の就任式に派遣する意向を明らかにした。

英紙ガーディアンによると、ワシントンのシンクタンク「スティムソンセンター」中国プログラム主任のユン・ソン氏は、「これは中国が対話や交渉に前向きであり、合意に向けて努力したい意志の表れだ」と評価している。

約1か月前、トランプ氏は習を含む外国首脳に対し異例の招待を行った。アメリカ大統領就任式に外国首脳を招待することは従来の慣例を破るものだ。

アジア協会政策研究所の国際安全保障・外交副理事長であるダニー・ラッセル氏は、「習が自ら出席せず韓正を派遣するのはリスク回避のためだ」と指摘した。同氏は、韓正の訪米は「象徴的なものであり、実質的な意義は薄い」とも述べている。

韓正は2023年3月に中共国家副主席に任命され、中共の序列では政治局常務委員会の7人に次ぐ「第8位」の高官である。

BBCによると、アジア協会政策研究所中国研究センター研究員のニール・トーマス氏は、「韓正は習近平の核心グループの一員とは見なされていないが、習氏は彼を信頼してこの任務を遂行させた」と述べた。また、トーマス氏は「韓正は習氏の主要な盟友ではないため、万が一失敗しても責任を転嫁しやすい」と分析している。

対中強硬派の登用と中共の反発

トランプ氏は、新政権に対中強硬派を複数起用する方針を打ち出しており、国務長官候補には上院議員のマルコ・ルビオ氏を指名した。

ルビオ氏は16日の上院公聴会で、「中国共産党はアメリカが直面する最も危険な『対等な競争相手』だ」と述べた。また、上院外交委員会の委員らは、ルビオ氏に対し対中対抗を最優先事項とするよう求めた。

これに対し中共政府は、ルビオ氏の発言が「中傷だ」として強く反発した。

トランプ氏の関税政策と中国経済への影響

トランプ氏はこれまで、中国の不公正な貿易慣行を非難するとともに、フェンタニルがアメリカにもたらす壊滅的な影響について中国を批判してきた。選挙後の声明では、「中国がフェンタニルの流通をさらに抑制しない限り、中国製品に追加で10%の関税を課す」と発言している。トランプ氏は選挙期間中にも、中国製品に60%以上の関税を課す意向を示していた。

中国経済は輸出に大きく依存しており、これらの関税措置は低迷する経済にさらなる打撃を与える可能性がある。

 

張婷