厚労省は、2027年9月をめどに高所得会社員の厚生年金保険料の上限を引き上げる方向で調整に入った。読売新聞によると、引き上げ額は月額9000円程度になる見通しである。
厚生年金保険料は、被保険者の収入に基づく「標準報酬月額」に所定の保険料率を適用して算出される。現在の保険料率は18.3%であり、事業主と被保険者がそれぞれ9.15%ずつ負担している。標準報酬月額には上限が設定されており、最高等級は65万円となっている。そのため、月収が65万円を超える場合でも、保険料は一律であり、個人負担分は月額5万9475円である。年収798万円(月収約66.5万円)以上の人がこの上限に該当する。
一方、厚労省は2026年4月に、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金」の基準額を現在の月収50万円から62万円に引き上げることも検討している。この改革は、高齢者の就労意欲を高め、人手不足の解消を図ることを目的としている。
これらの改正案は、2024年1月24日に召集される通常国会に提出予定の年金改革関連法案に盛り込まれる見込みである。
ただし、高所得者層への追加負担が労働意欲にどのような影響を与えるかや、高齢者の年金減額基準引き上げによる就労促進効果がどの程度見込まれるかは今後の議論の焦点となる。
特に、厚生年金保険料の上限引き上げは、高所得者層の負担増加に直結するため、その経済的影響と社会全体への波及効果が注目される。また、高齢者の就労促進における効果の検証と、その成果を確実なものとするための施策も重要となる。
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