中谷元防衛相は17日の記者会見で、中共軍の東部戦区代表団が13日から17日にかけて日本を訪問し、6年ぶりに日中の部隊間交流が再開されたことを明らかにした。この訪問は、2019年以来途絶えていた両国の防衛交流の再開となった。
東部戦区は東シナ海を管轄し、台湾周辺での軍事演習も行う中共軍の重要な部隊である。6人からなる代表団は、東京の自衛隊中央病院や京都府舞鶴市の海上自衛隊舞鶴基地を視察し、防衛省や自衛隊の幹部と意見交換を行った。
中谷防衛相は会見で、日本側から中共軍の活動活発化に対する深刻な懸念を伝えたことを強調した。特に尖閣諸島周辺での中国側の活動について「相当厳しく言及した」と述べ、両国間の緊張関係も浮き彫りになった。
一方で、中谷防衛相は「防衛当局間で率直な議論と意思疎通を重ねていく重要性を改めて確認した」と語り、対話の継続に前向きな姿勢を示した。今回の交流は、昨年11月の日中防衛相会談で合意された方針に基づくものであり、両国の防衛関係改善への取り組みの一環と見られる。
今後の展開として、自衛隊の中国訪問も検討されているが、具体的な時期は未定である。
今回の交流再開は、複雑化する東アジアの安全保障環境の中で、日中両国が対話のチャンネルを維持しようとする努力の表れと言える。しかし、両国の防衛政策や地域情勢に対する認識の違いは依然として大きく、今後の関係改善には慎重な外交努力が必要となるだろう。
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