フランスの首都パリ市は、イーロン・マスク氏が所有するSNS「X」(旧ツイッター)の利用を2025年1月20日に停止すると発表した。パリ市は2009年からXを利用しており、現在約220万人のフォロワーを抱えているが、マスク氏による買収後の方針変更により、偽情報や暴力的なコメントが増加していることを理由に挙げている。
パリ市は声明の中で、Xが特定の国の民主的な生活に干渉している疑いがあり、民主主義の根幹を揺るがしていると指摘した。この発言は、マスク氏が最近ドイツやイギリスの政府を批判する投稿をしたことを念頭に置いたものと見られる。
マスク氏は、2025年1月20日に発足予定のトランプ政権で要職に就くことが決まっており、最近では政治的な発言を活発化させている。例えば、ドイツのショルツ首相を「無能な馬鹿」と批判したり、ドイツの右派政党「AfD」の共同代表とXで対談し、支持を表明している。
この動きは、ヨーロッパ全体でXの利用停止が相次いでいる流れの一部である。今月に入り、ドイツとオーストリアの60を超える大学や研究機関が、「科学的な透明性や民主的な議論などの基本的な価値観に反する」としてXの利用中止を発表した。さらに、ドイツ国防省も「客観的なやり取りが難しくなってきている」として利用停止を決定している。
パリ市の決定は、SNSプラットフォームの影響力と責任に関する議論を再び喚起するものとなっている。今後、他の自治体や組織がどのような対応を取るか、注目が集まっている。
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