トランプ次期大統領の就任を前に、中国共産党(中共)政府がインドや東南アジアのハイテク製造業への支援を阻止するため、従業員や専用設備の国外持ち出しを制限しているとの情報が浮上している。この措置は、Appleのサプライヤーであるフォックスコンや中国大手自動車メーカーBYDにも影響を及ぼしている。
中共政府の規制強化
ブルームバーグの1月17日の報道によれば、匿名の情報筋が、中共当局が口頭で規制機関や地方政府に対し、アジア諸国への技術移転や設備輸出を制限するよう指示していると述べている。この措置の目的は、中国国内の生産体制を強化し、リストラを防ぐとともに、アメリカによる新たな貿易制限を受けた場合の外国投資家の撤退を阻止することにあるという。
情報筋によると、Appleの主要な組立パートナーであるフォックスコンは、中国の従業員をインド工場に派遣しておらず、中国からインドの工場への追加の専用設備輸送も行われていない。ただし、これがインド工場の生産に直接的な影響を与えているわけではない。
1月10日、アメリカのテクノロジーメディア「Rest of World」が報じたところによれば、フォックスコンは中国からインド工場への新たな従業員派遣を一時停止し、代わりに台湾の従業員を派遣しているという。この措置は、中共当局の規制が原因であるとされている。
アメリカ大統領選後、トランプ氏は「中共政府がフェンタニルの密輸を抑制するためにさらなる対策を取らない限り、中国製品に追加で10%の関税を課す」と発言した。また、選挙期間中には「中国製品に60%以上の関税を課す」とも公言している。
こうした状況を背景に、Appleが中国への依存を減らす戦略においてインドが重要な役割を果たしている。現在、中国がiPhoneの主要な生産地である一方、インド南部の都市チェンナイにあるフォックスコンの組立工場は、インドから輸出されるiPhoneの約半分を占めている。
インドの電子情報技術省とフォックスコンは、ブルームバーグのコメント要請に即座に応じなかった。
ある情報筋はブルームバーグに対し、「中共政府はフォックスコンがさらに生産拠点を他国や他地域に分散させることを望んでいない」と語った。フォックスコンは中国国内の工場で数十万人を雇用しており、同社の事業は中国の電子機器供給網と雇用の重要な柱となっているからだ。
1月17日、中共外務省は声明で「中国はすべての国を平等に扱い、世界中の企業に開かれている」と述べた。
BYDや太陽光パネル企業への影響
情報筋によると、この技術輸出制限はインドのEVや太陽光パネル製造にも影響を及ぼしている。特に、中国のEVメーカーBYDのインド支社や、インド最大の太陽光パネルメーカーであるWaaree Energies Ltd.が影響を受けているという。
BYDとWaareeはブルームバーグのコメント要請に応じていない。
さらに、中共政府は東南アジア諸国への設備輸送も妨害していると情報筋は指摘している。影響を受けている国には、ベトナム、マレーシア、タイが含まれるという。マレーシア貿易省は、中国が同国への設備販売を制限しているとの報告はまだ受け取っていないと述べた。ベトナム外務省はコメント要請に応じていない。
情報筋によれば、Appleの中国国内の設備パートナーである深圳傑士達電子科技有限公司や博眾精工科技有限公司は、2024年以降、中共政府からインドへの設備輸送の理由を問いただされているという。
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