トランプ次期大統領は、就任式を翌日に控えた19日、ワシントン市中心部のキャピタル・ワン・アリーナで「MAGA」勝利集会を開催し、支持者に向けて自身の政策ビジョンを語った。
演説の冒頭、トランプ氏は「我々はこの選挙で勝利をつかみ取った」と宣言。1月20日に第47代アメリカ大統領として就任することへの意気込みを示した。
「明日の正午、アメリカの低迷が続いた4年間の幕が下り、新たな時代が始まる。それは、強さ、繁栄、誇り、そして尊厳に満ちた時代だ」と述べ、「これはアメリカ史上最大の政治運動だ」と主張した。
国境政策と移民問題への取り組み
約1時間にわたる演説の中で、トランプは就任初日に発表予定の政策を説明した。特に国境管理の強化を「史上最も積極的かつ包括的な取り組み」として位置付け、「アメリカ史上最大規模の移民送還計画を開始する」と語った。また、「明日の日没までには、国境を超える違法な流入は完全に停止する」と強調した。
さらに、不法移民による犯罪の被害者家族に正義を届けると表明し、犠牲者の名前を挙げながら「新政権は彼らの苦しみに応える」と約束した。
2021年1月6日の議会乱入事件に関与し有罪判決を受けた人々については、「明日、ここにいる全員が私の決定に満足するだろう」と述べたが、具体的な方針については明らかにしなかった。
TikTok問題への対応
トランプ氏は、親会社が中国にあるSNSアプリ「TikTok」に関する連邦禁止措置を一時的に猶予する大統領令に署名する意向を示した。これを受けてTikTokはすでにアメリカ国内でのサービスを再開しており、トランプは「今日をもってTikTokの利用が再び可能になった」と発表した。さらに、アメリカが50%の所有権を持つ合弁事業として再編する提案を明らかにした。
歴史的記録の公開と国内政策
トランプ氏は選挙公約に従い、今後数日中に1963年のケネディ大統領暗殺に関する機密文書の機密指定を解除し、国民に公開すると述べた。また、1968年のロバート・ケネディ元司法長官暗殺事件、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)暗殺事件に関する未公開記録を近く公開する計画を発表した。また、山火事の被害を受けたカリフォルニア州ロサンゼルスを視察する予定を明かし、「ロサンゼルスを復旧し、これまで以上に発展させる」と語った。
就任式を控えたワシントンの熱気
厳しい寒波が予想される中、ワシントンには全国からトランプ支持者が集まっていた。日曜日の朝早くからキャピタル・ワン・アリーナ周辺には多くの人々が列を作り、集会の開始を待ちわびていた。会場ではキッド・ロックやリー・グリーンウッド、ヴィレッジ・ピープルがパフォーマンスを披露し、祝賀ムードを盛り上げた。
また、週末には数多くの祝賀イベントが行われた。ヒスパニック系有権者を対象とした公式舞踏会には、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領や著名な政治家が参加しており、次期政権への期待が高まっている様子がうかがえた。
国外からの期待
イギリス議会の保守党議員で元内務大臣のスエラ・ブレイバーマン氏も集会に出席していた。ブレイバーマンは「トランプ氏の政策は、国境管理の強化やビジネス促進といった点で、英国にも参考になるものが多い」と述べ、次期政権への期待を語った。
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