コロナ融資利用企業の倒産 2024年は567件と減少

2025/01/20
更新: 2025/01/20

2024年、コロナ禍で導入された政府の無利子無担保「ゼロゼロ融資」を利用した企業の倒産が567件と、前年比10.7%減少したことが明らかになった。これは、ゼロゼロ融資が始まって以来初めて、利用企業の倒産が前年を下回る結果となった。帝国データバンクなどが報じた。

政府の支援策は、中小企業の経営危機を一定程度緩和してきた。2020年7月から4年半で、ゼロゼロ融資利用後の累計倒産件数は1787件に達している。しかし、コロナ禍の収束と共に、円安や原材料価格の高騰、人手不足による人件費上昇など、新たな経営課題が浮上している。

政府は2024年6月まで、返済負担を軽減するための信用保証制度「コロナ借換保証」などの支援を実施し、7月以降は経営改善支援に重点を移した。民間金融機関や日本公庫による支援策も12月まで延長され、信用保証協会も保証料減免の制度融資を開始している。

一方で、会計検査院は返済猶予中の融資残高が1兆1888億円に上ることを指摘し、「倒産を先送りしているだけ」との懸念も示されている。中小企業の本質的な経営改善が今後の大きな課題となりそうだ。

ゼロゼロ融資とは

ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した中小企業や個人事業主を支援するために導入された特別な融資制度である。この制度の主な特徴は、実質無利子・無担保の融資制度であることだ。2020年に開始され、政府系金融機関は2022年9月、民間金融機関は2021年3月ま で新規貸付を受け付けた。融資の規模は、個人事業主が最大6千万円、中小企業は最大3億円まで融資可能。主な目的は、コロナ禍で深刻な経済的打撃を受けた事業者の資金繰りを支援し、倒産を防ぐことであった。特に、売上が大幅に減少した宿泊業や飲食業などの非製造業を中心に支援が行われた。