中国・珠海市の無差別轢殺事件 中共政府が犯人に死刑執行 

2025/01/20
更新: 2025/01/20

昨年中国珠海市で暴走したSUVが大勢の人をはね、多くの死傷者が出た事件で、犯人の樊維秋(はん・いしゅう)(62)に対する死刑が1月20日、執行された。

2024年11月11日夜7時48分、中国広東省珠海市のスポーツ施設の敷地内でSUVが暴走し、散歩やランニングをしていた市民を次から次へとひき飛ばす「社会報復事件」が起きた。中国共産党の公式報道では、少なくとも35人が死亡、43人が負傷したという。犯人はその場で取り押さえられた。

事件から約1か月半後の12月27日、珠海市中級人民法院は犯人を「危険な方法で公共の安全を脅かした罪」で死刑判決を下し、政治的権利を永久に剥奪する判決を言い渡した。そして2024年1月20日、死刑を執行した。

この迅速な裁判と厳しい処罰について、渡米した中国人権弁護士の呉紹平氏はラジオ・フリー・アジアに、「事件の社会的影響を考慮した当局の見せしめ的対応だ」と指摘した。さらに、「社会への無差別報復を考える者への警告として、死刑判決を急ぎ執行した可能性がある」と述べている。しかし、「このような司法対応が中国社会が抱える根本的な問題を解決する手段にはなり得ない」とも批判した。

また、当局が公表した犯行動機にも疑問が投げかけられている。樊の動機については「婚姻や財産問題」が背景にあるとしているが、人権弁護士の滕彪氏は「一般的な財産トラブルがこれほど激しい社会報復行動に繋がるとは考えにくい。当局が公開していない重大な背景がある可能性がある」と述べた。