トランプ氏は、就任初日に出生地主義を廃止する大統領令に署名した。不法移民の子どもがアメリカで生まれた場合でも、自動的に市民権を与えないことを明確にする。
出生地主義は、1898年の「アメリカ合衆国対ウォン・キム・アーク事件」で憲法上の権利として確立されたものだが、トランプ氏は「自動的な市民権付与はばかげている」と批判した。さらに、法的な議論が起きることを予想しつつも、この変更が法的に正当だと自信を示した。
同日、トランプ氏は南部国境での不法移民問題を「国家緊急事態」と宣言する大統領令にも署名した。署名の際、「これは非常に重要な問題だ」と強調した。
トランプ氏は選挙期間中、国境警備を強化し、不法移民を大規模に送還することを約束していた。就任演説では「世界中から人々が違法にアメリカに入国してきている」と非難し、これを即時停止すると宣言した。また、犯罪歴のある不法移民を送り返し、南部国境に軍を派遣して国を守る「壊滅的な事態」を防ぐと述べた。
トランプ大統領は、不法移民に対して厳しい対策を講じると発表した。1798年制定の「外国人・治安諸法」を適用し、メキシコの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定する計画を示した。また、「捕まえて釈放する」という従来の政策を廃止し、不法移民が庇護を申請するためにアメリカに入国することを禁止する。
アメリカ政府の推計によれば、2022年時点でアメリカに滞在している不法移民は約1100万人とされていたが、一部の分析では現在1300万~1400万人に達しているとされる。
不法移民への警告と新たな措置
20日、トランプ政権のスティーブン・ミラー次席大統領補佐官(政策担当)は「アメリカに不法に入国しようとする者は今すぐ引き返すべきだ。不法入国する者は起訴され、追放される」と警告を発表した。
また、トランプ政権は税関・国境警備局が提供していたアプリ「CBP One」の使用を終了した。このアプリは、不法移民が入国の事前予約を行うために使われていたが、1月20日をもって機能を停止し、既存の予約もすべてキャンセルされた。
今回の政策に対して、アメリカ自由人権協会(ACLU)などの団体が法的異議申し立てを行う可能性が高い。ACLUはすでに11月、トランプ氏が国境に軍を派遣する意向を示した際、「この政策はアメリカの生活を根本的に変える恐れがある」と強い懸念を示していた。
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