日本製鉄対バイデン前米大統領 USスチール買収禁止命令めぐる裁判が2月3日から審理開始

2025/01/21
更新: 2025/01/21

日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカーUSスチールの買収計画を巡り、ジョー・バイデン前米大統領らを相手取って起こした裁判が、2025年2月3日から審理を開始することが明らかになった。

この裁判は、バイデン前大統領が2025年1月3日に出したUSスチール買収禁止命令に対し、日本製鉄とUSスチールが共同で提起したものである。両社は、買収計画に対して「違法な政治的介入にあたる」として、命令の無効を求めている。

裁判所の審理計画書を分析した専門家によると、今回の裁判は証人尋問や証拠開示の手続きを経ず、書面審理のみで進められる見込みだという。そのため、6月頃には判決が出る可能性があるとの見方も出ている。

日本製鉄は2023年12月、約2.2兆円でUSスチールを買収する計画を発表していた。しかし、バイデン大統領は「国家安全保障とサプライチェーンにリスクをもたらす」として、この買収を禁止する命令を出した。

日本製鉄とUSスチールは、バイデン前大統領の命令だけでなく、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査過程にも不備があったとして、2件の訴訟を起こしている。1件目の訴訟では、大統領命令とCFIUS審査の無効を求めており、2件目の訴訟では、買収を阻止しようとした競合他社や労働組合幹部の共謀行為に対する損害賠償を求めている。

この裁判の行方は、日米の経済関係や国際的な企業買収の在り方に大きな影響を与える可能性があり、今後の展開が注目される。