「我々の冬休みを奪うな!休ませろ!」
「冬休みの補習に断固反対!」
18日、江蘇省泰州市(たいしゅうし)の複数の中・高学校の、延べ数千人の生徒が集団で抗議をした。
抗議活動は最終的に鎮圧されたが、学校側は譲歩をし、計画されていた冬休み中の(高額な)補習授業の中止が発表された。
学生たちが抗議をもって休暇を勝ち取った今回の運動は「一・一八学生運動」と呼ばれている。
きっかけ
本来、学生たちの冬休み期間は26日間(1月18日~2月12日)。しかし、同市の一部中学校・高校では長期休暇期間中に補習授業を実施することを計画し、補習期間を除くと、学生たちが本当に休める期間は半分の十数日になってしまう。
ただでさえ、休みを奪われたのに、学校側から強制的に補習をやらされ、高額な補習費用(1日100~200元/約2~4千円)まで取ろうとしている。
このゆゆしき事態に学生たちは怒りを爆発させた。学生たちは相次いで、市長ホットラインなどに電話して苦情を言ってきたが、当局からは完全無視された。
こうして、冬休み初日にあたる18日、ついに集団抗議・暴動が起きた。
暴動
生徒たちは校内に抗議スローガンのポスターを張り、プロモーションビデオまでつくってネットに拡散した。
「私たちは学習マシーンではない、生身の人間です! 私たちには休みとリラックスが必要です。 学校は私たち生徒のメンタル面の健康にももっと注意を払うべきです」と抗議に参加した生徒は訴えた。
一部生徒のもとには警察からの「関連情報の拡散をやめるよう」求める電話がかかってきたという。
抗議当時の様子について、活動に参加した生徒(高校2年生)はエポックタイムズの記者に対して次のように明かした。
「隣の学校では、生徒たちは学校校門前で垂れ幕を引き、『休ませろ!』『冬休みを返せ!』といったスローガンを叫んでいた」
「うちの学校は、一番静かに抗議した部類に入るが、それでも千人ほどの生徒は、学校の有刺鉄線を破壊したり、窓ガラスを割ったり、紙を燃やしたりするなどして、校内で破壊活動をした」
「(18日)夜になると、抗議活動は学校によって鎮圧され、私たちは先生から相当怒られたが、学校側は譲歩を発表した」
「すっごく興奮した! 自分たちは初めて勝利をつかんだ!」
ネットで称賛の声
「我々は戦いに勝利した! みんなこの歴史的瞬間を忘れるな!」と抗議勝利後、生徒たちはSNSで勝利を祝い、喜んだ。
ネット上でも生徒たちの勇気と団結を称賛する声が殺到している。
「いまどきの中国の若い世代は、権利意識が強く、黙って耐えるのではなく、行動を通して自分たちの訴えを表現し、権利を擁護する勇気がある。素晴らしいことだ」
「嫌なことはノーと言う! 立派なことだ」
「今回の抗議の勝利は間違いなく、より多くの学生を鼓舞するだろう」
「今後もこのような抗議はもっと増えそうだ」
ゆがんだ教育
今回複数の学校で暴動が起きた江蘇省では「補習」が非常に盛んに行われている省でもある。
中学生や高校生たちは、毎日午前6時から午後10時過ぎまで学校での勉強を強いられており、高校三年生にいたって毎日11時間近く勉強している。
長期休暇中の冬休み補習授業について、
「補習やるお金あったら子供を連れて旅行に行きたい。今どきの子は生活常識がなく、勉強することしか知らない。子供たちの才能は、全部勉強勉強でつぶされた」
と嘆く保護者の声も少なくない。
昨年5月、中国のリアルな教育環境について、NTD新唐人テレビの取材に応じた教師は、「学校はまるで監獄、自分は精神的にギリギリな状態で働いている。給料をもらえない時もある……」「進学率を求められるなかで、過度の学習プレッシャーを受けて、多くの子供がうつ病になり、自殺者も出ている」などと本音を吐露している。
中国では近年、校舎をふくむ高い建物から飛び降りるなどして、自ら命を絶つ学生が後を絶たない。
勉強漬けで、とにかく成績至上主義。そのため、親や周囲からの巨大なプレッシャーに押しつぶされるか、死に物狂いで受験勉強して著名な大学に入学したとしても、そこを卒業すれば、今はすさまじい就職難で、仕事はデリバリー配達員しかない。
そうした現状から、将来に希望を持てない生徒が極めて多いことが、急増する自殺の大きな原因になっている。生徒の自殺を防止するために、校舎の窓などに「鉄の柵」や「金網」を張り巡らす学校も出てきているくらいだ。
中国の一部の高校の教室には「生命は輪廻転生すれば何度も得られるが、高考(大学入試)は一度しかない。(生命可以輪回、高考只有一次)」と書かれたスローガンが掲げられている。
要は「命よりも、受験を重視せよ」と言いたいらしいが、ここまでくると教育というより、もはや「狂気」に近い。
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