1月20日の就任から数時間後、トランプ大統領は一連の大統領令に署名し、前政権の政策を覆し、国境安全保障やエネルギー政策、性別の定義、TikTok問題など幅広い分野で大きな方針転換を示した。
多くの大統領令が法廷で争われる可能性があるが(例えば出生地主義の廃止)、象徴的な意味合いを持つものも含まれる。これらの政策は、バイデン政権からの明確な転換を示し、トランプ氏の第1期政権を彷彿とさせるものとなっている。
以下は、トランプ大統領が就任初日に署名した主な大統領令である。
移民と国境安全保障
- 「南部国境での侵略」を宣言し、州がこの侵略から保護されることを保証する宣言を発表。
- 「アメリカ国民を侵略から守る」と題する大統領令を発令し、南部国境での不法移民の急増に対応。
- 国境の壁の建設やアメリカ国税関・国境警備局(CBP)が提供するモバイルアプリのCBP Oneアプリの終了など、さまざまな方法で南部国境の 安全を確保するよう命じる。
- 米メキシコ国境での国家緊急事態を宣言。
- アメリカの難民受け入れプログラムを「アメリカの原則と利益に適合させる」よう再編する。
- 出生地主義を廃止する大統領令に署名。(リンク)
- 連邦捜査官や法執行官の殺害に対する死刑制度の復活。
- 麻薬カルテルをテロ組織として指定。
- 南部国境に関連する外国のテロリストや国家安全保障、公衆安全上の脅威に対する保護を強化。
連邦職員と政府改革
- 連邦政府の採用基準を能力に基づくものに改革する。
- 不適格な連邦職員を解雇しやすくする政策変更。
- 選挙干渉や機密情報の違法な開示に関与した元政府職員への責任追及を指示。
- 大統領の政策を実行しない高官は解雇するよう求める覚書を発表。
- 新政権が政府の完全な管理体制を確立するまで、官僚による新たな規制の発行を禁止する規制凍結措置。
- 新政権が発足し、政府の目的が理解されるまで、軍などの一部を除き、連邦職員の採用を一時停止。
- 全ての連邦職員に対し、即時にフルタイムの対面勤務に戻ることを義務付ける。
性別とDEI(多様性、公平性、包括性)
エネルギーと環境
- アラスカで天然資源の開発と生産を最大化するための大統領令に署名し、化石燃料の採掘を加速。
- 国家エネルギー緊急事態を宣言。
- エネルギー生産を促進するため、許認可手続きや規制を緩和。
- 山火事の緩和に役立てるため、カリフォルニア州南部の水資源供給を改善する覚書を発表。
- 洋上風力発電のリースを一時停止し、リースや許認可の見直しを指示。(リンク)
- パリ協定からの正式な脱退を宣言し、国連に通達。アメリカ・ファーストを国際的な環境政策にも反映させる方針を示す。
軍事と国家安全保障
- アメリカの外国援助プログラムの見直しと調整を命じる。
- 国防総省に対し、麻薬密売、人身売買、不法移民などの犯罪活動を防ぐための計画策定を指示。
- 新政権のスタッフがホワイトハウスに迅速にアクセスできるよう、6か月の暫定的なセキュリティクリアランスを付与する覚書を発表。
- 国務長官に対し、アメリカ・ファーストを重視する外交政策を実行するよう指示。
- 「国家安全保障会議及び小委員会の組織」を定める命令。
税制と貿易
- アメリカ・ファーストの貿易政策を制定し、アメリカの労働者と企業を優先。同時に「関税、税金、その他の外国貿易関連の収入を徴収する外税庁(ERS)」を設立する。
- 組織経済協力開発機構(OECD)のグローバル税制協定がアメリカでは無効であると宣言。
連邦政府の変更
- 大統領諮問委員会「政府効率化省(DOGE)」の創設。
- バイデン前大統領の大統領令や覚書など78件の措置を無効化。
- 生活費危機への対策を全連邦政府機関に指示。
- 言論の自由に対する検閲防止を全政府機関に指示。
- 前政権が法執行機関や情報機関を政治的対立者への攻撃に利用した。こうした「連邦政府の武器化」を終了させる。
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