米国が「パリ協定」脱退 日本は追随せず 環境主義の裏に共産主義

2025/01/21
更新: 2025/01/21

アメリカのトランプ新大統領が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名した事を受け、浅尾慶一郎環境大臣は21日、閣議後の記者会見で「アメリカのパリ協定からの脱退のいかんにかかわらずパリ協定を着実に実施することの重要性は損なわれていない」と述べ、2050年ネットゼロに向けた脱炭素と経済成長との同時実現を目指す方向性は揺るぎがないものだという姿勢を見せた。

ホワイトハウスは、トランプ大統領のエネルギー政策として、自然の景観を損ないアメリカの消費者に奉仕しない大規模な風力発電所に対するリースを終わらせると発表した。

パリ協定は、2015年にCOP21で採択された国際的な気候変動対策の枠組みで、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することを長期目標としている。

トランプ大統領の第1期政権でパリ協定から脱退した際、すでにトランプ大統領は、「パリ協定により米国は温暖化対策で巨額の支出を迫られる一方で、雇用喪失、工場閉鎖、産業界や一般家庭に高額なエネルギーコストの負担を強いる」とし、また、2025年までに製造業部門で44万人、全体で270万人の雇用が失われ、2040年までにGDPで3兆ドルが失われると述べていた。

 環境保全団体WWFジャパンのCOP29結果報告 によると、 世界全体での温暖化対策資金は、2021~2022年の平均で年間約1.3兆ドルが投入されるなど膨大な額の金額が投入されている。多くの西側先進国は温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、実質的に排出量をゼロにすること、カーボンニュートラルの達成を目標としている。

日本も国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が設立した国際基金緑の気候基金(GCF)へ2019年10月、日本は15億ドル(約2338億円)の拠出を表明し、国際的枠組みの中で存在感を示している。 

2050年カーボンニュートラルの達成に向け、政府が主導して設立したグリーンイノベーション基金は規模が2兆円という大型なもので、エネルギー、輸送、製造など14の重点分野で、革新的な技術開発と社会実装を加速させ、日本の産業競争力強化と脱炭素社会の実現を目指す。

こうした気候変動政策について、一部の科学者からは異論が上がっている。Climate Intel Group(CLINTEL)」は、2023年8月、ノーベル賞受賞者のジョン・F・クラウザー博士など1600人以上の科学者や専門家が「Clintel Climate Declaration」に署名した。最初の署名者はノーベル賞受賞者のイヴァル・ギアヴァー博士だ。この宣言では、「気候緊急事態は存在しない」と明言している。宣言では、気候科学が政治化されており、科学的な厳密さを欠いていると指摘している。

特に、気候変動モデルは仮説や前提に依存しており、その結果を信じることは「モデル作成者の仮定を盲信すること」に等しいとしている。このため、気候変動議論が健全な科学的批判ではなく、信念に基づく議論に陥っていると警鐘を鳴らしている。

大紀元の社説「悪魔が世界を統治している」第十六章 環境主義の裏にいる共産主義(上)では、こうした環境主義が別の形の共産主義であるとしている。

 共産主義の重要な手法の一つは、政府を使って人々の財産や自由を奪い、国家権力を無限に拡大することだが、民主的な西洋社会でその手法を使うのは非常に難しい。しかし、環境主義によって人々は「環境保護」の名のもとで権利を奪われ、莫大な資金が富の再分配に使われていると指摘している。

「環境主義は大きな政府をより拡大するために使われる。すでに欧米諸国では大きな環境保護機関が設立されているが、環境を理由に新しい機関が乱立し、既存機関の権威を拡大している」

「すべての機関は自己保存と拡大のために、より官僚的になる傾向があるが、環境保護機関も例外ではない。彼らは手中の権力を利用して環境的な大災害を人々に宣伝し、より多くの資金を入手しつつ政府の中で自分たちの地位を固めている。結局、そのコストを受け持つのは納税者である」

 

 



悪魔が世界を統治している第十六章:環境主義の裏にいる共産主義(上)

地球温暖化と異常気象を結びつけ、気候問題を誇張するやり方が流行っている。さらに、この流行に迎合するような科学的推論が継続的に報告されている。2014年初め、北アメリカは極寒の冬を迎えた。極寒の理由の一つとして、地球温暖化による北極の雪の溶解がジェット気流に変化をもたらし、極端に冷えた北極の空気が南へ移動したため、より頻繁に寒冷な気温をもたらしたという説明がなされた。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。