2025年春闘スタート 経団連と連合 賃上げ定着へ意欲

2025/01/22
更新: 2025/01/22

経団連と連合が22日、東京都内で懇談会を開き、2025年春季労使交渉(春闘)が事実上始まった。両団体のトップは、賃上げの流れを定着させる重要性を強調した。

経団連の十倉雅和会長は、「賃金引き上げの強い勢いを定着させる年にしなければならない」と述べ、ベースアップ(ベア)を念頭に置いた基本給の底上げを呼びかけた。十倉会長は、賃上げを単なるコスト増ではなく、事業の継続と発展に不可欠な「人への投資」と位置づけている。

一方、連合の芳野友子会長も「新たなステージを定着させる年だ」と述べ、「ようやく動き始めた賃金(引き上げ)の流れを滞らせることは絶対に避けなければならない」と主張した。

この春闘は、過去2年間の賃上げの勢いを維持し、中小企業にも波及させることが重要課題となっている。経団連は21日に発表した2025年春闘の経営側指針で、物価高で実質賃金のマイナスが続いている状況を踏まえ、ベアを念頭に置いた検討を会員企業に要請した。

背景には、日本経済のデフレ脱却への期待がある。十倉会長は2025年を「日本がデフレからの完全脱却を果たせるかどうかの分水嶺の年」と位置づけ、成長と分配の好循環の重要性を強調している。

一方で、最低賃金の引き上げについては慎重な意見も出ている。経団連の十倉会長は昨年10月、最低賃金を時給1500円に引き上げる政策について「乱暴な議論はすべきでない」と述べ、中小企業への影響を考慮する必要性を指摘した。

今後、経団連は「2025年版経営労働政策特別委員会報告」を取りまとめ、全国約60か所での講演等を通じて周知活動を展開する予定だ。労使双方が協力して賃上げの定着を目指す中、今春闘の行方が注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。