農水省は1月22日、岩手県盛岡市の養鶏場2か所で高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いのある採卵鶏が確認され、遺伝子検査で陽性が判明したと発表した。この冬、岩手県内での感染確認は4例目と5例目となる。同日朝、岩手県庁で対策本部会議が開かれ、合わせて約66万羽の殺処分が開始された。
農水省によれば、1月に全国で殺処分された鶏の合計は771万羽に上り、発生ペースの異常な速さが注目されている。
藤木眞也農水相は21日の会見で、「この1月の発生状況は過去に例を見ないほど急激であり、このままのペースが続けば、たまご1パック350円という価格も現実になりかねない」と危機感を示した。これに伴い、農水省は関係機関にさらなる警戒と迅速な対応を求めている。
1月は感染が最も多い時期とされ、農場関係者や自治体には防疫対策の徹底が求められている。
農水省が1月21日に公表した鶏卵価格は10個入りで269円で平年比116%と上昇している。特に、鶏卵価格の上昇懸念が消費者にも影響を及ぼす可能性があるため、今後の感染拡大の防止が急務である。
日本では国内の卵不足を補うため、2023年からブラジル産卵の輸入が始まっている。イフジ産業やキユーピーが主導し、殻付き卵を冷蔵輸送で輸入。これらの卵は液卵として加工され、パンや菓子メーカーに供給されている。ただし、輸入された卵は生食には適しておらず、加工用に限定されている。
ブラジルは鳥インフルエンザが発生していないことから、安全な供給先として選ばれており、国内の需要に応じた供給体制を整えつつある。感染拡大を防ぎ、卵価格の安定を図ることが急務である。
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