アメリカ政治 このメモは、1月22日午後5時までにDEI職員を有給休暇にするよう各機関に指示している。

公平性重視の方針 米政府のDEI関連職務停止へ

2025/01/22
更新: 2025/01/22

アメリカ人事管理局(OPM)は1月22日、すべての連邦政府の多様性公平性・包括性(DEI)担当職員を有給扱いとするよう指示するメモを発行した。この動きは、連邦政府内のDEI関連イニシアチブを解体するための一環とされる。OPMは連邦政府の人事制度を管理する独立機関である。

メモによれば、連邦政府機関は1月22日午後5時までに、すべてのDEI担当職員を有給扱いとし、DEI関連のウェブサイトやソーシャルメディアアカウントを削除する必要がある。

大統領令 DEI廃止を明示

トランプ大統領は、就任直後に発令した大統領令で、連邦政府内のDEI関連政策やプログラムを廃止するよう指示した。この大統領令では、DEI関連の研修プログラムを中止し、これらの取り組みに関わる契約者の解約を命じている。

また、2024年11月5日時点で連邦政府内のDEI関連オフィスおよび職員のリストを作成し、2025年1月31日までにこれらの職員を対象とした「人員削減措置(Reduction-in-Force Action)」の計画をOPMに提出することが求められている。

トランプ大統領は、「政府の方針として公平性を基調に、実力主義を徹底する」と述べるなど、DEI関連政策の廃止と改革の方向性を強調している。

バイデン政権の政策を批判

トランプ氏の大統領令では、バイデン前政権が「違法かつ非倫理的な差別プログラム」を連邦政府の「ほぼ全ての領域」に導入したと批判。

また、バイデン氏の以前の指示に従い、「ほぼすべての連邦機関および団体が、連邦政府へのDEIの浸透を促進してきた方法を詳述する公平行動計画を提出した」と述べている。それを「公的資金の無駄遣いと恥ずべき差別」と指摘している。このプランの廃止を明確に指示し、「これで終わりだ」と明言した。

トランプ氏の大統領令では、行政管理予算局長、アメリカ司法長官と人事管理局長に連邦政府内の全ての差別的プログラムを廃止するよう指示しており、特にDEIやDEIAに関する義務、政策、プログラム、優遇措置、活動を終了させるよう求めている。環境正義や公平性に焦点を当てたアクションプラン、助成金、契約についても、命令発効後60日以内に終了することを義務付けている。

さらに、2021年1月20日以降にDEIや環境正義プログラムの実施に連邦資金を受け取った助成対象者や、DEI研修を実施した連邦契約者のリスト作成も求められている。

「公平で実力主義に基づく社会」の実現を掲げる

1月20日の就任演説でトランプ氏は、「人種や性別を公的・私的生活のあらゆる側面に社会的に組み込もうとする政策を終わらせる」と述べ、「公平で実力主義に基づく社会」を目指す方針を明らかにした。また、「米国政府の公式政策として、2つの性別(男性と女性)のみを認める」との立場を表明した。

トランプ氏は就任初日に78件のバイデン政権の行政命令を撤回する命令を発令。これには、「連邦労働力における多様性、公平性、包括性、アクセシビリティ」や「公平性のさらなる推進」など、バイデン政権が推進したDEI関連政策を含む複数の大統領令を含んでいる。

また、トランプ政権の第2期では、公私双方の雇用者に対するアメリカの公民権法の執行を強化する見通しである。アメリカ労働省は「1964年公民権法は、人種、肌の色、宗教、性別、国籍による差別を禁止している」と明記した。

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。