中国人俳優・王星氏が偽のオーディションをエサに詐欺グループに監禁された事件を機に、ミャンマー詐欺団地における暗い実態が次々と明らかになっている。王氏はタイにおびき寄せられ、そこからミャンマーに誘拐された。
詐欺団地とは組織犯罪集団が犯罪に利用する詐欺の拠点で、近年、偽の求人に騙された被害者を詐欺行為に従事させるケースが増加している。
目撃者によれば、これらの詐欺団地では、詐欺師として稼げない被害者が臓器摘出されるという。タイの闇市場では腎臓1対が約50万人民元(約1千万円)で取引され、東南アジアの闇市場では約80万元(約1600万円)で転売される。
詐欺団地の実態と産業構造
フェニックス・テレビ(香港鳳凰衛視)によると、ミャンマー北部の詐欺団地で恐怖体験を経験した許博純氏はインタビューで、東南アジアにおける電信詐欺、人身売買、臓器取引が長年にわたり密接に絡み合った犯罪ネットワークを形成していると語った。このネットワークは「完璧な閉鎖環」を築いており、詐欺団地では人脈や人材が相互に連携しているという。
許氏は、詐欺団地に騙されて連れて来られた被害者たちは「子豚」と呼ばれており、成果を上げられない者は通常3か月ごとに転売されると述べた。
3回以上転売されても稼げない者の最終的な行き先は、タイと国境を接する都市ミャワディやタイの公海だという。そこで身体検査を受けた「子豚」たちは合格と判断されると臓器を摘出され、1つの腎臓が25万元、2つで50万元で売られる。その後、臓器は1対が80万元で東南アジアの闇市場に転売される。つまり30万元の利益が生じる仕組みだ。
多国の被害者
許氏によると、ミャワディーに転売されるのは台湾、香港、日本、韓国などから騙されてタイに連れて来られた人々が多いという。
被害者は、母国の人々をターゲットにする詐欺行為に従事させられ、詐欺師として稼げない若者は臓器に回される。一方、ちょっと歳をとった人はミャンマー北部に転売されるかもしれない。このように、被害者は臓器の需要や状態に応じて流通する「犯罪ネットワーク」の一部となる。
中国人ビジネスマンの辛万林氏も、自身が詐欺団地から逃れた経験を語った。(リンク)彼によれば、公海で臓器を摘出される際に麻酔はされないという。
「麻酔をかけると臓器が機能不全を起こす可能性がある。だから、被害者は麻酔されず生きたまま腎臓を摘出される。それは本当だ。医学的知識を持つ者、医者ならば、これが真実であることを理解しているはずだ。特に良質な臓器を得るには、麻酔を使わずに生きたまま摘出する必要があるとされている。これが、臓器を生きたまま摘出する理由の一つでもある」
辛氏はかつて中国で旅行会社を経営する企業家だったが、2022年にタイで観光ルートを視察中に人身売買業者に拉致され、ミャワディーの詐欺団地に連行された。彼は九死に一生を得て帰国し、その後SNSを通じて詐欺団地の実態を告発する活動を開始した。
詐欺団地の運営者と背後の勢力
辛氏によれば、ミャンマーの詐欺団地の所有者はすべて中国人であるという。(リンク)
「自分がいた全ての詐欺団地の所有者は全員中国人だ。外国人は関与していない」
「ミャンマー人は土地を提供しているだけで、実際に行われている犯罪には無関心だ」と述べた。
さらに、13日、ミャンマー在住の華僑である李騰衝氏はラジオ・フリー・アジアの取材に応じ、ミャワディーの詐欺団地の投資家の多くが中国国有企業であり、背後には中国共産党が関与していると指摘している。これらの詐欺団地の実質的なオーナーは、中国共産党の統一戦線工作部に属する商工会の会長たちであり、彼らが詐欺団地を支配しているため、摘発が進まない状況にあるという。
タイ警察の統計によれば、毎年約7万人の中国人がタイからミャンマーへ人身売買されている。これらの詐欺団地や臓器取引市場は、行方不明者を永遠に抜け出せない闇の無限ループに閉じ込めている。
背景にある臓器摘出問題
臓器の強制摘出が初めて明るみに出たのは2006年、事実を知り中国を脱出した証人が法輪功学習者の臓器が摘出されていると告発し、国際社会に衝撃を与えた。この問題について調査を行った国際組織は、中国共産党が組織的に臓器摘出を行っている証拠を数多く収集している。
今日では、この臓器摘出の問題は法輪功学習者だけでなく、一般市民や若者にまで及んでいる。近年、中学生の胡鑫宇さんをはじめとする若者の失踪事件が相次いでおり、社会的不安を引き起こしている。
時事評論家である唐靖遠氏は、中国共産党による臓器狩りや、政府に異議を唱える者や人権活動家への精神病院を利用した迫害といった行為について、「実際に、これは法輪功への大規模な弾圧から始まったものだ。それが最終的には他の人々にまで広がった」と指摘している。
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