日鉄に「安全保障上のリスクなし」 元米商務長官 USスチール買収支持

2025/01/23
更新: 2025/01/23

ウィルバー・ロス元米商務長官が、日本製鉄によるUSスチールの買収計画を支持する発言をした。ロス氏は2025年1月22日、ニューヨーク市内の日米交流機関「ジャパン・ソサエティー」で行われた講演で、この買収には「米国の国家安全保障上のリスクはない」と述べた。日本経済新聞が23日伝えた。

ロス氏は、日鉄による買収がUSスチールの社員やアメリカの鉄鋼業界、さらには安全保障の観点からも最良の選択肢であるとの見解を示し、また、トランプ新政権がこの買収を承認することへの期待も表明したという。

この発言は、日本製鉄による150億ドル規模のUSスチール買収計画を巡る議論が続く中で行われた。2023年12月に発表されたこの買収計画は、米国内で大きな論争を引き起こしている。対米外国投資委員会(CFIUS)は昨年12月23日、この買収計画に関する国家安全保障上のリスクについて合意に達することができず、最終判断をバイデン大統領(当時)に委ねた。CFIUSは、買収を認めれば米国内の鉄鋼生産量が減少し、「国家安全保障上のリスク」となる可能性があるという認識を示していた。

一方、日本製鉄側は買収のメリットを主張し続けており、USスチールの経営陣や取締役にアメリカ人を任命することでリスクを排除できると主張している。

トランプ政権第1期(2017~2021年)で元商務長官を務めた他、1990年代初頭、トランプ氏の経営していた「トランプ・タージマハル」が経営難に陥った際、同氏の窮地を救った経緯もあり、ウィルバー・ロス元商務長官の今回の発言は、この買収計画を支持する新たな声として注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。