中谷防衛大臣は2025年1月22日、沖縄県与那国町を訪れ、糸数健一町長と面会した。この会談で中谷大臣は、陸上自衛隊与那国駐屯地に新たな地対空ミサイル部隊を配備する計画について説明し、理解を求めた。NHKなど日本の大手メディアが報じた。

与那国島は台湾からわずか110キロの距離にある日本最西端の島で、2016年に沖縄本島以外で初めて陸上自衛隊の駐屯地を開設した。今回の計画は、中国の軍事活動の活発化や北朝鮮の核・ミサイル開発など、厳しさを増す東アジアの安全保障環境を踏まえたものだ。

中谷大臣は会談で「今後、駐屯地には防空を担う地対空誘導弾部隊を配備する計画」であると説明し、南西地域の防衛体制強化が喫緊の課題であることを強調した。これに対し糸数町長は「ちゅうちょなく必要に応じて自衛隊の増強なり、増員なり、しっかりやっていただきたい」と述べ、計画に理解を示した。

会談では、ミサイル部隊の配備に加え、台湾有事を想定した住民避難用シェルターの整備についても話し合った。糸数町長が政府の支援を求めたのに対し、中谷大臣は「着実に実施できるよう取り組む」と応じた。

また、与那国町の空港を自衛隊が平時から訓練に利用できる「特定利用空港」に指定することについても検討しており、中谷大臣は「沖縄県との調整にしっかり取り組みたい」と述べた。

この計画は、近年の国際情勢の変化を受けた日本の防衛力強化の一環と見られる。台湾情勢や東シナ海における中国の動向、北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射、さらにはロシアによるウクライナ侵攻など、アジアのみならず世界的に安全保障環境が変化している中で、日本政府は中国共産党軍の活動の活発化を受けて特に南西諸島の防衛体制強化を重要視している。

今後、与那国島へのミサイル部隊配備が具体化していく中で、地元住民の理解や沖縄県との調整が重要な課題となるだろう。政府は安全保障上の必要性と地域への影響のバランスを取りながら、計画を進めていくことが求められる。