医療機関の倒産・休廃業が786件で過去最多 2026年には1千件に

2025/01/23
更新: 2025/01/23

2024年、日本の医療業界は厳しい状況に直面した。帝国データバンクの調査によると、2024年に市場から消えた医療機関の数が過去最多の786件に達した。この数字は、倒産64件と休廃業・解散722件の合計である。

調査結果によれば、倒産と休廃業・解散の両方で、特に「診療所」と「歯科医院」の数が急増し、過去最多を記録したことが全体の数字を押し上げた。中でも注目すべきは、経営者の高齢化に伴う「診療所」の休廃業・解散の増加である。

この傾向の背景には、医療業界における深刻な後継者不足の問題がある。帝国データバンクの2019年の調査では、病院・医療業界の後継者不在率が73.6%と、全国平均の65.1%を大きく上回っていた。さらに、2018年の厚生労働省の統計によると、病院の開設者または法人の代表者の平均年齢は64.3歳で、一般企業の経営者平均年齢60.1歳を上回っている。

特に診療所や歯科医院では、後継者不在の割合が約9割に達しているという調査結果もある。これらの数字は、医療機関の事業承継が年々困難になっている現状を如実に表している。

2024年の倒産案件の中で最大の負債額を記録したのは、「アリシアクリニック」を展開していた医療法人美実会で、負債総額は72億9500万円に上った。

この状況は、地域医療の存続にも影響を与える可能性がある。厚生労働省の2019年の調査では、病院数が前年比72件の純減となっており、医療機関の減少傾向が続いている。

医療機関の倒産や休廃業の増加は、日本の医療体制に大きな課題を投げかけている。経営者の高齢化と後継者不足の問題に対する早急な対策が求められる中、第三者への事業承継やM&Aなど、新たな解決策を模索する動きも出てきている。今後、医療業界全体でこの問題にどう取り組んでいくかが注目される。

2026年に倒産・休廃業1千件の可能性

医療機関の経営悪化が加速している背景として、患者の選別意識の高まり、コロナ関連補助金の削減、材料費・人件費の増大、コロナ関連融資の返済開始などもある。これらの要因により、多くの医療機関が収入減少に直面し、経営環境の悪化に苦しんでいる。

特に小規模医療機関では、設備更新の遅れや労働条件の悪化によるスタッフの定着率低下、サービス品質の低下という負のスパイラルに陥るケースが増加している。

一方で、医療費は高齢化や医療の高度化を背景に増加を続けており、2023年度には約47兆3千億円と3年連続で過去最高を更新した。しかし、この医療費の増加が個々の医療機関の経営改善には必ずしもつながっていない現状が浮き彫りとなっている。

2025年以降も、倒産件数は高水準で推移し、休廃業・解散件数も増加し続けると予想されている。2026年には合計1千件に達する可能性が高まっているという。この状況は、地域医療の維持に深刻な影響を与える可能性があり、早急な対策が求められている。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。