国交省のウクライナ復興官民協議会設立会合に100社超参加 「日本人支援優先に」の声も

2025/01/23
更新: 2025/01/23

国土交通省は2025年1月21日、ウクライナにおける国土交通分野のインフラ復興に関して、日本企業による参画を加速させるため、官民協議会を設立した。この協議会には、建設や運輸分野などの企業100社以上が参加している。一方、日本のウクライナ支援には反対意見も存在する。

ロシアによるウクライナ侵攻から間もなく3年を迎える中、国土交通省はウクライナの復興支援に向けた取り組みを本格化させている。協議会の目的は、現地の情勢やニーズを企業側に提供し、同時に日本企業が持つ技術をウクライナ政府側に伝えることだ。

「日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会(JUPITeR)」の設立当日、国土交通省にはインフラ分野(道路・橋梁、水資源、住宅、鉄道、航空、港湾、物流)の事業を手がける大手ゼネコンや大手機械メーカーなど、国内の100社余り、約200名が集まった。

本会合には、ウクライナ地方・国土発展省のクレーバ大臣、コルスンスキー駐日大使及び中込駐ウクライナ大使がオンライン参加した。

会合での発言

昨年の令和6年2月に、国土交通省はウクライナ地方・国土発展省との間で、ウクライナのインフラ復興支援に関して協力覚書を締結している。

中野洋昌国土交通大臣は、本協議会の設立趣旨を「今後、技術と関心を持つ日本企業によるウクライナのインフラ復興への参画を加速させるため」と説明し、「本協議会では、会員企業に対して、ウクライナの現地情勢や、復興ニーズ、復興プロセスへの参入方策等に関する最新情報を提供し、案件形成に向けた支援を行うほか、ウクライナ政府に対しては、日本の技術・知見の共有に努めていく。戦後復興や災害復興の経験を通じ、豊富な技術・知見を持つ日本企業による積極的な参画に期待する」と述べ、日本の経験を活かしたウクライナ支援の重要性を強調した。

ウクライナのクレーバ大臣は、日本政府が主導した官民協議会の設立に対し、深い感謝の意を表明した。大臣は、先進技術を活用したインフラの復旧・発展において、日本とウクライナの協力が極めて重要であると強調した。

クレーバ大臣は、この協議会が日本企業をウクライナの重要社会基盤、住宅、交通、物流の再建に効果的に関与する手段となることへの期待を示した。

現在、ウクライナ政府が重点を置いている分野として、エネルギー、運輸・物流、人道的地雷処理、住宅、重要社会基盤、そしてウクライナの民間セクターへの支援とパートナーシップ構築におけるローカル化の推進を挙げた。さらに、日本の民間企業が革新的なソリューション、技術、リソース、そして大規模プロジェクトを実装する専門性を提供することで、強力な変化の駆動力となると期待を表明した。また、ウクライナ側の投資優先順位を伝える窓口として、単一公共投資パイプライン(SSP)が実装されており、多くのプロジェクトポートフォリオの情報を提供していると説明した。

中込大使は、「今後、和平が達成されれば、ビジネスチャンスは飛躍的に増大する見込み。是非、 日本企業には、その前の早い段階で復興プロセスに関与してほしい。日本企業には、官民ミッションへの参加等を通じてウクライナを訪問し、ウク ライナのダイナミズム、強靱性、大いなる可能性を直接感じていただきたい」と訴えた。

この取り組みは、日本の建設・インフラ企業がウクライナの復興に貢献する機会を提供するとともに、両国間の経済協力の促進が期待されている。今後、協議会を通じて具体的なプロジェクトや支援策が検討されていくものと見られる。

国土交通省の今回の動きは、日本政府のウクライナ支援策の一環として位置づけられており、国際社会における日本の役割を示す重要な取り組みとなっている。

ウクライナ支援への反対意見

日本のウクライナ支援に対しては反対意見も存在する。まず、国内問題への対応を優先すべきとの声が大きい。特に2024年元旦の能登半島地震への対応の必要性も重なり、ウクライナ支援継続への風当たりが強くなっている。日本の財政状況が厳しい中で、国内の課題解決を優先すべきだという意見が出ている。また、日本政府はウクライナ人よりも日本人を優先すべきだという批判もある。

このような状況下で、日本政府には国内向けにウクライナ支援の意義を説明する必要性がより一層求められている。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。