国際 米・新国務長官は「中国入国禁止」の制裁リストに載る人物

制裁の継続か? 中国当局の「あいまい」な態度にピンクちゃんたちは「とても不満」

2025/01/23
更新: 2025/01/23

米共和党のマルコ・ルビオ氏(53)は21日、ホワイトハウスに隣接するアイゼンハワー行政府ビルで宣誓して第72代国務長官に正式就任した。

周知のとおり、この米新国務長官は「中国入国禁止」の制裁リストに載る人物である。

ルビオ氏は2020年、新疆のウイグル族を中国政府が弾圧しているとして、制裁発動を求める「ウイグル人権法」を推進した。

その報復措置としてルビオ氏は中国共産党(中共)から「反華(中国)政治家」のレッテルを貼られ、中国への入国を禁じられるなどの「制裁」を受けている。

トランプ氏が次期アメリカ大統領に当選し、ルビオ氏が国務長官に指名された後、華人圏の世論は一気に沸騰した。

当時、多くの中共御用達の専門家たちは相次いで当局に「助言」を与えるなど、中共当局がどのようにこの「ばつの悪い局面」を打開するのか、話題になった。

ようやく、その気になる「解決策」が明らかになった。

中国外交部は16日、同公式サイト上でルビオ氏の名前(中国語の漢字表記)を「魯比奧」と訳した。

注目すべき点は、この時まで外交部を含め、どの中国官製メディアも、彼の名に「盧比奧」という当て字を使用していたのだ。

「魯比奧」と「盧比奧」では、読み方はどちらも「ルビオ」だが、使用された字が1字違い、しかも違ったその漢字の読み方はどちらもほとんど同じなのだ。

中国語の当て字を変えて、「新・アメリカ国務長官」と「制裁リストに載る米議員」は「同一人物ではなくなる」という効果を狙ったものと思われる。

「要するに、中国人民さえ騙せればオーケーということか」

「見え見えの詐欺」

「中国共産党の恥知らずぶりには毎回驚かされる」

といった非難と、呆れる声が殺到するなか、この「気まずい話題」は勇気ある記者によって、何度も中国外交官に投げられている。

その気になる答えはというと、「あいまい」と一言にまとめられる。中国当局の「あいまいさ」に怒り心頭の「ピンクちゃん」も続出している。

なお、ピンクちゃんとは強い愛国心を持ち、過激な主張を繰り返す華人・小粉紅(しょうふんこう)のこと。

「ほう、ほう」

1月22日、中国外交部の定例記者会見の席で、外国メディア記者は毛寧(もう ねい)報道官に対し、「中国側はルビオ氏の名前(中国語の漢字表記)を公式に『盧比奧』から『魯比奧』に直したのか」と尋ねた。

すると、毛報道官は、いかにもばつ悪そうに、「哦」「哦」と2回続けた。

「哦」というのは中国語で「わかった」などの時に使用される言葉で、日本語で言うところの「ほう」が近い。

毛報道官は「ほう、ほう」のあと、こう続けた。「私はまだそれには気づいていないが、調べてみることはできる。しかし、重要なのは彼の英語名でしょう」

また、「中国によるルビオ氏の制裁問題」について、毛報道官は「制裁に関しては昨日、私の同僚(郭嘉昆報道官)がすでに中国側の立場について述べている。中国の制裁は、中国の正常な権益を損なう言動を対象としている」

なお、毛報道官の同僚である郭嘉昆(かくかこん)報道官は21日の定例記者会見で、「中国はルビオ氏への制裁解除を検討するのか」について問われた際、「中米高官は連絡を取り合うべきだ」とだけ答え、肝心の制裁問題については触れていない。

この事態について、中国の元外交官・陳用林氏は米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、次のように指摘している。「中国の外交部や新華社通信は、外国の政治家に対しては非常に明確な名前の訳があり、勝手につけるのはありえない」

つまり、改名は明らかに当局による公式な決定である。

中国のネットでも炎上

ルビオ氏が正式に第72代国務長官に就任した21日夜、中国検索エンジン最大手の「百度(バイドゥ)」では「中国は新・米国務長官に対する制裁を解除するのか?」のトピックスがトレンド・トップに駆け上がった。

中国SNSウェイボー「微博」でも同様の話題は熱く議論されているが、当局による厳しい検閲の後のネット世論ではルビオ氏に対するマイナスの意見が圧倒的だ。

多くの「ピンクちゃん」はルビオ氏を罵倒し、「制裁の継続」と呼び掛けている。

なかには、「こっそり改名」の手を使った中国当局のみっともない行為と制裁継続かどうかに関するあいまいな態度が気に入らないというピンクちゃんも多い。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!