ロサンゼルス北部で山火事 1万エーカー以上焼失 数万人が避難

2025/01/24
更新: 2025/01/24

23日の朝、アメリカロサンゼルス北部の険しい山間部で発生した山火事は、数時間で1万エーカー以上に拡大した。この火災により、多くの住民が避難を余儀なくされ、ロサンゼルスにある拘置所の収容者も避難対象となった。

ロサンゼルス郡とベンチュラ郡にまたがるこの山火事は、現地時間午後10時22分時点で14%が鎮火した。ロサンゼルス郡消防署長のアンソニー・マローネ氏は同日夜の記者会見で「現在のところ建物への被害は確認されていない」と発表した。

避難命令対象は3万2千人 避難警告は2万3千人

現在、火災対応のために4千人の消防士が動員されている。避難命令は約3万2千人に発令され、2万3千人が避難警告の対象となっている。

カリフォルニア州森林防火局によると、この火災は23日午前10時40分頃、シックス・フラッグス・マジック・マウンテンの北6マイルに位置するカスティーク湖付近で発生した。その後わずか2時間で5千エーカーを焼き尽くし、煙が周辺地域を覆い、約50マイル離れたベンチュラでも灰が降る状況となった。

拘置所の受刑者も避難 州間高速道路5号線が一時閉鎖

避難者には、火災発生地点から約5マイル南にあるピーター・J・ピッチェス拘置所の収容者500人も含まれている。同拘置所には4500人以上の男性収容者がいるが、避難対象となった収容者は敷地内の別の建物へ移されたと、ロサンゼルス郡保安官ロバート・ルナ氏が述べた。

また、カリフォルニア州ハイウェイパトロールは、視界不良と緊急車両の通行を確保するため、ロサンゼルス北部のグレープバインと呼ばれる山岳地帯を含む州間高速道路5号線を一時閉鎖した。その後、視界が回復し、緊急対応が完了したため通行が再開された。

乾燥したサンタアナ風が火災を拡大 消火活動が難航

マローネ氏は火災拡大の主因として天候を挙げ、「状況は依然として変化しており、優勢にはなりつつあるものの、火災を完全に鎮圧するのは困難な状況だ」と述べた。

南カリフォルニア全域では、乾燥した強風であるサンタアナ風が吹き荒れ、24日まで極度の火災危険性を警告する「レッドフラッグ警報」が発令されている。

1月に発生したパリセーズ火災やイートン火災に比べれば状況は若干好転している。風速は当時より弱まり、消火活動のリソースも増加しているが、依然として厳しい状況である。

カリフォルニア州消防局のジョー・タイラー署長は「消防隊は非常に効果的に対応しているが、油断できない状況だ」と述べた。また、ルナ保安官は避難命令や警告を受けた住民に対し、迅速な退避を呼びかけた。さらに、警察が避難区域を巡回し、犯罪を防止する措置を講じていると説明した。

カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は声明で、「州リソースをアンヘレス国有林での火災対応に投入し、連邦政府の対応を支援している」と述べ、迅速な鎮火に向けて全力を尽くす姿勢を強調した。

消火活動に向けた大規模な資源投入

カリフォルニア州消防局によると、23日午後1時30分時点で、ヒューズ火災対応のために20台の消防車、4つの消防隊、4台のブルドーザー、航空機が投入された。また、レッドフラッグ警報のもと、地域全体で1100人以上の消防士が戦略的に配置されている。

さらに、国立航空消防システム(MAFFS)を備えた航空機がチャネル諸島に配備された。これらの航空機は1回で約3千ガロンの消火剤を散布可能であり、火災鎮圧の重要な役割を果たしている。

ロサンゼルスでの降雨量は限定的

オレンジ郡やサンディエゴでは週末にまとまった降雨が予想されるが、ロサンゼルスでは25日の日中の降雨確率が40%、夜間には70%に上昇するものの、降雨量は少ない見込みである。日曜日も一部で降雨が期待されるが、月曜日には再び乾燥した天候が戻ると予測されている。

1月に発生した他の火災状況

1月7日以降、ロサンゼルス郡とベンチュラ郡では複数の山火事が発生している。パリセーズ火災はこれまでに2万3448エーカーを焼き、鎮火率は68%に達している。一方、イートン火災は1万4021エーカー以上を焼失し、9千以上の建物が被害を受け、鎮火率は95%である。

これらの火災により、現在571人が6つの避難所で避難生活を送っている。また、フットヒル水道局は「飲料水禁止」命令を解除する前に最大2週間の水質検査を実施する予定である。