トランプ氏の関税政策 近隣国に対する影響は?

2025/01/24
更新: 2025/01/24

トランプ大統領が就任後に発表した関税政策は、選挙期間中の発言と比べて控えめであった。

トランプ大統領は就任後、貿易関税に対して慎重な姿勢を示している。彼は連邦機関に、4月1日までにアメリカの現行貿易政策の再審査を完了するよう指示した。また、2月1日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すことを検討していると発表した。これは、両国にフェンタニルや不法移民の流入を制限させるためだ。

ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、トランプ政権は米墨加協定(USMCA、アメリカ・メキシコ・カナダ)の早期審査と再交渉を検討している。この協定はトランプ政権の一期目にNAFTAの代わりに署名したもので、再審査日は2026年だ。

経済学者デービッド・ファン氏は「カナダとメキシコはアメリカへの貿易と社会的依存度が非常に高い。トランプ氏は対処しやすい2国を選び、国際社会に交渉の意思を示している」と述べている。

米墨加3か国協定以来、メキシコとカナダはそれぞれアメリカの第1位と第2位の貿易相手国となり、中国は3位だ。しかし、アメリカの最大の貿易赤字は中国からで、2024年には中国の貿易黒字が約1兆ドル(9920億ドル)に達し、その3分の1がアメリカとの取引によるものであった。

しかし、現時点でトランプ氏は米中貿易の不均衡に対する関税引き上げを提案していない。代わりに、中国がメキシコとカナダにフェンタニルを輸送していることを理由に、2月1日から中国からの輸入品に10%の関税を課すことを検討している。また、中国からの800ドル未満の商品に対する免税政策を修正する覚書にも署名した。これはフェンタニル製造の前駆物質が含まれているためだ。

分析によると、これは貿易再審査の結論が出る前にトランプ氏が取る段階的な措置と考えられている。

ファン氏は次のように述べている。

「中国の工場の大部分はすでにメキシコに移転し、メキシコからアメリカへの中継貿易を行っている。カナダも比較的親中的だ。彼(トランプ)がこの2つの問題を解決すれば、将来の交渉において、北京がアメリカから(商品を)輸入する選択肢は大幅に減少するだろう」

トランプ氏が指名した財務長官のスコット・ベセント氏は、先週の上院公聴会で、北京に圧力をかけ、2020年にアメリカと署名した第一段階の貿易協定の履行を求めると述べた。

さらに、北京が約束を果たさなかった場合の補償条項も追加する意向を示している。

当時の米中貿易協定では、中国が2年間で2千億ドル相当のアメリカ商品とサービスを追加購入することが規定されていたが、ピーターソン国際経済研究所の推定によると、中国は約束したアメリカ製品の追加購入を一切行っていないとのことだ。

トランプ氏の10%関税引き上げ計画に対し、中国外交部の毛寧報道官は「貿易戦争関税戦争に勝者はない」と主張した。

一方で、北京当局はアメリカ製の半導体に対する反補助金調査を開始し、アメリカやEUからの工業用プラスチック輸入に反ダンピング関税を課すと発表した。

また、習近平とプーチンが21日に行ったビデオ通話は、習近平がアメリカに対抗する姿勢を示したものと解釈している。