中国共産党政府は、「韓国の不正選挙の背後に中国が関与している」という報道に対し、これまで公式見解を表明していない。この沈黙は極めて異例であり、中共が他国の内政干渉や批判的な報道に対して、即座に反論するこれまでの態度とは対照的である。
韓国の保守系ニュースメディア「スカイデイリー」は、16日と17日に公式ウェブサイトとYouTubeを通じて、「選挙管理委員会の教育施設「選挙研修院」で中国人スパイ99人が逮捕され、日本の沖縄米軍基地に送られた」と報じた。
スカイデイリーによると、「昨年12月3日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による非常戒厳令発令時、戒厳軍と在韓米軍が水原市にある選挙研修院を急襲し、中国人スパイ99人を拘束。これらの人物は日本の沖縄米軍基地に移送された」としている。また、この米韓共同作戦には米国防総省傘下の国防情報局が関与したとも伝えられている。
さらに、スカイデイリーは、「選挙研修院で逮捕された中国人スパイ容疑者は、韓国やアメリカの選挙操作に加え、韓国内でのコメント操作にも関与したと自白しており、これらは米情報当局が尋問の過程で確認した」と報じた。
選挙管理委員会の反応と法的措置
この報道を受け、韓国中央選挙管理委員会は17日に公式に反論する声明を発表し、20日には「虚偽の報道によって選管職員の名誉を毀損し、業務を妨害した」として、該当するメディアおよび記者をソウル警察庁に告発したと明らかにした。また、言論仲裁委員会に訂正報道を求める申請も行った。選管が法的措置を取ることになった背景には、国会で関連質問が取り上げられた影響があったとされる。
一方、中国共産党政府は、「不正選挙の背後に中国がいる」という報道に対し、これまで公式見解を表明していない。この沈黙は非常に異例だ。これまで自国に関連する批判に即座に反発してきた従来の態度とは異なる。
また、在韓米軍も20日、広報担当を通じて「韓国メディアの記事に記載された米軍に関する描写は完全に虚偽である」と発表した。
尹大統領 憲法裁判所で「不正選挙」を再言及
こうした状況の中、尹大統領は21日に憲法裁判所で開かれた第3次弁論期日に出席し、非常戒厳令発令の理由として「不正選挙論」を再び言及した。
尹氏は、「戒厳令を発令する以前から、選挙の公正性に疑問を抱かざるを得ない事例が多くあった」と述べ、2023年10月に国家情報院が選挙管理委員会の電子機器の一部を点検した際に多数の問題が確認されたと証言した。
憲法裁判官出身のチョ・デヒョン弁護士も、「非常戒厳令は、国内外の共産主義左翼勢力が韓国の選挙を不正操作し、国会の過半数の権力を掌握しようとしたためだ」と主張している。
報道と論争の発端
今回の事件は、昨年12月24日に韓国の週刊誌「時事IN」が、「12月3日、選挙管理委員会研修院で職員や民間人90人以上が拘束されていた」という単独報道を掲載したことが発端である。その後、12月26日にスカイデイリーが「選挙管理委員会研修院の中国人ハッカー部隊90人は誰なのか」と題する記事を発表し、中国人を「ハッカー部隊」と表現した。
この報道を皮切りに、極右系のYouTubeチャンネルや保守派メディアがこれを繰り返し取り上げ、拡散した。
スカイデイリーは16日に「逮捕された中国人スパイ99人が平沢港を経由し、日本の沖縄米軍基地に送られた」との記事を掲載した。
最近、韓国各地の市民が街頭に出て、尹錫悦大統領を支持する声を上げるとともに、「共産党は出て行け!」などの反共スローガンを掲げている
20日にトランプ大統領が就任したことで、この問題に関連したアメリカ側の公式見解が発表されるかどうかが注目されている。トランプ大統領は就任初日に2020年の大統領選結果について言及し、「完全に不正操作された選挙だ」と発言した。トランプ氏は、大統領選で敗北した直後から不正選挙を主張しており、今回の選挙過程においても同様の主張を繰り返している。
もしスカイデイリーの報道通り、中国共産党が韓国の選挙に介入していたことが明らかになった場合、またはその逆に介入が否定された場合でも、その影響は国内外で非常に大きな波紋を広げるだろうと予想されている。
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