1月24日、米メディアは、中国企業傘下のショート動画アプリ「TikTok」の将来に対する不透明感が続いている影響で、一部のアメリカの従業員が他社に転職していると報じた。
2024年7月以降、800人以上が離職
2024年7月以降、800人以上のTikTokのアメリカの従業員が離職したという。データ分析企業Live Data Technologiesによれば、離職者の約10%がMeta Platforms(InstagramやFacebookを運営)に転職している。同調査は公開された職務変更データを基に従業員の流動を追跡した結果である。
こうした従業員の離職率は、過去半年間でMeta、Apple、Amazon、Microsoft、Googleといった主要テクノロジー企業の約2倍に達している。
Meta以外にも、GoogleやAmazonへの転職が多く見られ、ウォルマートやDoorDash、OpenAI、Passesといった企業に転職するケースも目立つ。TikTokはこの件に関するコメント要請には応じていない。
法規制の影響
TikTokは2023年時点で米国内に約7千人の従業員を抱えていたが、2024年4月にバイデン大統領がTikTokと中国親会社バイトダンスの分離を求める法案に署名したことで、将来への懸念が高まった。この法律はバイトダンスに対し、TikTokの支配権を9か月以内に売却するよう義務付けている。
一方、バイトダンスは売却について協議を拒否しており、TikTok経営陣は新規採用を継続しつつも、採用活動で禁止措置後の推測を行わないよう指示している。
TikTokはバイトダンスが所有するアプリであるが、米国議会は中国共産党政府が同アプリを利用してアメリカ市民の個人情報を収集し、スパイ活動やプロパガンダの拡散を行う可能性を懸念している。これに対し、TikTokは中共政府が同アプリをコントロールしている事実はないと否定している。
最高裁の判決とトランプ氏の猶予
2025年1月17日、米最高裁は議会によるTikTok禁止法を合憲と判断した。この判決に基づき、AppleやGoogle、Oracleなどは1月19日にTikTokのアプリ提供や関連サービスを米国内で停止した。
TikTok禁止法には明確な「適格な分離」条項が定められており、大統領もこの法律を執行する義務がある。
1月20日に就任したトランプ大統領は、大統領令を発し、TikTok禁止法の執行を75日間延期すると表明した。「国家安全保障を守りつつ、数千万人が利用するプラットフォームの突然の閉鎖を回避する」ことが目的とされている。しかし、トランプ大統領がTikTokに具体的にどのような措置を講じるのかは明らかになっていない。
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