社会問題 中国の食の安全、「道徳喪失」が根本問題

中国の有名飲食店で「残飯リサイクル」?

2025/01/26
更新: 2025/01/26

「食の安全」や「調理場の衛生問題」に関するスキャンダルは実によく中国SNSのトレンド入りするものだ。

16日には江西省公立中学校の食堂職員が食材を足で踏みつけた話題、17日には四川省・成都市にある火鍋店の厨房の衛生環境「火鍋店小便事件」

最近では天津市の著名レストランで起きた「残飯リサイクル事件」がトレンド入りしている。

前のテーブルの残飯、そのまま次のテーブルへ?

「残飯リサイクル事件」について告発する市民によると、2024年11月2日夜、天津市にある有名なレストラン「益発順」で食事をした際に、「問題の料理」が運ばれてきた。

一口食べると、すぐに異変に気付いた。「料理は完全に冷め切っていたのに、なぜか皿だけは熱いのだ」という。

ちょうど、この「問題の料理」が運ばれてくる前、隣のテーブルも同じ料理を注文しており、途中まで食べられていたが「髪の毛が入っている」としてクレーム返品していた。

その一部始終を見ていた「被害者たち(問題の料理を注文した市民グループ)」は、「ハッと」した。

「まさか、隣のテーブルが返品した髪の毛入りだった残飯が、そっくりそのまま、自分たちのテーブルに運ばれてきたのか」

不安を感じた「被害者」たちはいはすぐさま店員を呼びつけて問いただした。しかし店員は、「この料理はたったいま作られたものだ」として「残飯説」を断固否定した。

それでも、「作りたてだというのならば、なぜ料理は冷めているのか、なぜ皿は熱いのか」と納得できない「被害者」たち。

その後、やってきた店のマネージャーに対しても追究を続けた。納得のいく解釈もできず、また厨房の監視映像も提供できないマネージャーは最終的に、「問題の料理は隣のテーブルから返された残飯である」ことを認めた。

被害を受けた顧客はこの件について現地の市場管理当局に報告したが、2か月経っても明確な対応がないという。

この件について中国メディアは問題の店に対して、電話取材を行ったところ、店員は「残飯であった」ことに関しては否定している。

「なぜ公開された動画のなかでマネージャーらしき人物が残飯だと認めたのか」という質問に対し、店員は「そんなのは恣意的な引用だ」と回答し、さらに事件の具体的な経過や(被害を受けた)お客さんに対する処理について尋ねられると、「電話で話せることじゃない、忘れたよ」などと返したという。

関連ニュースをめぐっては、「受け入れ難い」「残飯を出されるなど消費者に対して極めて無礼であると同時に、食の安全と衛生基準を完全無視した行為だ」として非難が殺到した。

この件はもはや「サービスや態度の問題ではなく、人としてのモラルの問題だ」と指摘する声も多く上がっている。

 

食の安全問題

中国産食品」と聞いただけで、何とも言えない「不安心感」を感じる人は多い。

不衛生な環境での生産・販売、残留農薬や基準を超える添加剤の使用、有毒有害物質の添加、廃棄油を再利用した「地溝油」、注水肉(重量水増しのために注水した食肉)、賞味期限が切れたのにラベル張り直して再販売される危険食品……。

中国の食をめぐる闇を掘れば掘るほど、ぞっとする。

なぜ中国の食の安全問題はこれほどまでにひどいのか。「政府の監督不備や腐敗」のほか、「企業や生産者個人の基本的な道徳観の喪失」と指摘する人は多い。

富が一部の人に集中する極端な中国の格差社会の中で、企業や末端の生産者は、「一時的な目先の金銭を得ることだけがすべて」という価値観・道徳観の歪みが、食の安全問題の根本にあるのだ。

 

「残飯リサイクル」を行う中国の飲食店の厨房(元学生アルバイトによる告発動画より)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!