昨年5月1日未明、中国広東省梅州市にある「梅龍高速道路」で路面の一部が崩落する事故があった。
路面はおよそ18メートルにわたり崩れ、現場では大きな爆発が発生し、炎上するなど地獄のような光景が広がった。
被害状況については、当局は最終的に「80人以上死傷(車両23台が陥没に飲み込まれ、52人死亡、30人負傷)」としているが、この数を疑問視する声は高い。
情報封鎖
中国共産党(中共)当局は一貫して重大事故の真相を隠蔽しており、事故の真相と真実の死傷者数は闇に葬られた可能性がとても高い。
事故以降、「公式発表」と一致しない声の封殺に当局が躍起になっていることがその証拠とも言える。
事故直後、中国のネット上には「事故が起きた高速道路を通る予定で、崩落事故の後、連絡がとれなくなった家族」について情報提供を求める投稿が少なくなかった。しかし、そのような情報提供を求める投稿ばかりでなく、市民が投稿した事故関連の動画や画像、文章も多くあったが、ことごとくネット検閲に遭い封殺された。
事故が起きた道路は開通して10年足らず、事故発生の数日前に安全検査をクリアしたばかりだった。
手抜き工事
事故直後から「崩落はおから工事のせいではないか」と、当局の管理不行き届きや道路の手抜き工事を疑う声が多く上がっていたが、当局による公式な調査では、「手抜き工事」を問題視してはいない。
今月22日に公表された政府公式の調査報告書によると、この事故は「長期にわたる降雨とさまざまな要因が重なった結果、起きた災害」である。
「絶対におから工事の問題があるはずだ」「雨がいっぱい降ったからというのならば、辺り一帯全部崩落しないとおかしいのではないか」といった、世間では政府の調査報告書が唱える「災害説」に反発の声も大きい。
なお「おから工事」とは手抜き工事のこと。中国では、住宅の品質や企業の社会的責任よりも、利益追求をはるかに優先する建築業者が多く、豆腐のおからのように、手で砕けるほどもろい「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれる手抜き工事が、以前から大きな社会問題となっている。
(中国の手抜き工事)
「災害認定」
実際、「災害認定」は事故の翌日、つまり今回のような正式な調査が行われる前から、すでに出ているのだ。
事故翌日、中国国営新華社通信は事故を「災害」と呼んでいた。同じ日、中共・党首の習近平は「社会全体の安定」を確保する必要性を強調した重要な指示を出していた。
つまり、「災害認定」は政治的動機によるものではないか。
事故の後、「界面新聞」など一部中国メディアでは「専門家と関連部門が事故原因を調査しているが、初歩的な推測では地質構造、雨水による浸食、道路工事の品質など多くの要因が関係している可能性があると報じていた。
事故を研究したアメリカの上級橋梁設計技術者である竹学葉氏は昨年5月、エポックタイムズの取材に応じ、「この事故の原因は災害によるものではなく、人為的な道路品質の問題だ」と指摘した。
竹氏はさらに、「今の中国は一見してとても見栄えが良い。しかし、10年もしないうちに、おから工事の災害があちこちに現れるだろう。住宅をはじめ、橋、道路、鉄道などのインフラは問題だらけだ」と警鐘を鳴らしている。
(2024年5月1日未明、中国広東省梅州市「梅龍高速道路」で起きた路面の一部崩落事故)
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