沖縄市長選 保守系新人の花城氏勝利 「中共の脅威」沖縄で認識加速

2025/01/27
更新: 2025/01/27

沖縄県沖縄市で行われた市長選挙が2025年1月26日に投開票され、自民党と公明党が推薦する無所属新人の花城大輔氏(53)が初当選を果たした。花城氏は、玉城デニー知事や「オール沖縄」勢力が支援した無所属新人の仲村未央氏(52)との一騎打ちを制した。中国共産党側が沖縄への統一戦線工作を強め、日本政府と沖縄県の分断を図る中、今回の選挙結果となった。沖縄県民は中国共産党の脅威を懸念し、県民意識に明らかな変化が見られる。一方、「新基地反対」を訴えてきたオール沖縄は影響力低下が鮮明となっている。

この選挙は、桑江朝千夫前市長の死去に伴って実施された。花城氏は元県議で、故桑江市長の政策継承を主張して支持を拡大した。一方、仲村氏も元県議で、立憲民主党、共産党、社民党、沖縄社会大衆党の推薦を受け、子育て支援の拡充などを訴えたが及ばなかった。

投票率は49.11%で、前回2022年の市長選を3.97ポイント上回ったものの、過去3番目の低さとなった。有権者数は11万875人で、投票総数は5万4454票だった。

花城氏は選挙戦で、財源確保に取り組みつつ市民の負担軽減を図ることや、桑江市政の実績を評価し、新しい視点での政策を進めることを訴えた。一方、仲村氏は「みんなのこえ市民会議」の設置や、経済活性化と雇用拡大を目指す政策を掲げていた。

この結果について、玉城知事は「大変残念な結果だ。市民の判断は市政継承だったということだろう」とコメントした。今回の選挙結果は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力にとって、今月19日の宮古島市長選に続く敗北となり、その影響力の低下が指摘されている。

沖縄市長選の結果は、地域の政治動向を反映するものとして注目されており、今後の沖縄県内の政治情勢に影響を与える可能性がある。

「中共の脅威」沖縄に浸透 県民意識に変化の兆し

近年、沖縄県民の間で中国共産党(中共)の脅威に対する理解が広がりつつあり、それが県民の意識変化につながっている可能性がある。

この背景には、尖閣諸島や台湾をめぐる緊張の高まりがあると考えられる。中国が尖閣諸島を自国領と主張し、海警局の船舶を常時侵入させていることへの危機感が、沖縄県民の間で高まっているのだ。

また、若い世代を中心に、日米同盟の重要性を認識する声も出てきている。尖閣諸島や沖縄自体が中国に奪われかねないという危機感から、米軍基地の存在意義を再評価する動きも見られる。

一方で、中共側は沖縄への統一戦線工作を強めており、「沖縄特区」論を展開するなど、日本政府と沖縄県の政治的離間を図ろうとしている。しかし、こうした中共の動きに対する警戒心が、逆に沖縄県民の対中認識を変える要因となっている可能性がある。

ただし、この意識変化は一様ではなく、玉城デニー沖縄県知事のように中共との関係強化を模索する動きも依然として存在する。県民の意識と県政の方向性にずれが生じている点も、今後の沖縄情勢を見る上で注目すべき点である。

オール沖縄の影響力低下

オール沖縄とは、米軍基地問題、特に辺野古新基地建設に反対する立場を中心に結束した幅広い政治連合を指す。2014年の沖縄県知事選挙を機に形成された。当時、保守政治家であった翁長雄志氏が「保革を越えた沖縄」というスローガンを掲げ、従来の保守と革新の枠を超えた連携を呼びかけた。翁長知事の死去後、保守系メンバーの離脱が相次ぎ、左翼革新系の色彩が強まっている。かつて沖縄県の政治において大きな影響力を持っていた政治勢力だが、現在はその影響力が著しく低下している状況にある。

2025年1月現在、オール沖縄系の市長は沖縄県内11市で一人もいなくなった。約10年前には那覇、名護、南城、豊見城、宮古島の5市でオール沖縄系市長が誕生したが、2018年の名護市長選以降、次々と落選が続いている。

この背景には、オール沖縄の掲げる「新基地反対」という理念と、有権者の投票基準とのずれが指摘されている。オール沖縄のまとまりが機能しなくなっているのではないかという見方もある。

また、2024年6月の県議選では県政与党が大敗し、県議会は野党の自民、公明が多数を占めるようになった。これにより、玉城デニー知事率いる県政は、辺野古新基地建設反対のための新たな裁判を事実上起こせなくなるなど、反基地イデオロギー優先の政策を続けることが困難になっている。

さらに、中国共産党の軍事的脅威が増大する中、玉城知事の「反基地イデオロギー」が日本の抑止力強化を阻害しているという批判も出ている。特に、「特定利用空港・港湾」の指定に対する玉城知事の慎重姿勢は、安全保障上の懸念を引き起こしている。

このように、オール沖縄は現在、その政治的影響力の低下と、安全保障環境の変化に伴う新たな課題に直面している状況にある。

2025年の沖縄選挙日程

2025年は沖縄県内で重要な選挙が複数予定されている。夏には参議院選挙が行われ、2月9日に浦添市、4月20日にうるま市で市長選が予定されている。これらの選挙は2026年の知事選に向けた前哨戦として位置づけられている。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。