中国本土で感染拡大 新たなウイルスの可能性?

2025/01/27
更新: 2025/01/27

中国本土で発生した今回の感染拡大は、広範囲にわたり多くの感染者が報告されている。ソーシャルメディア上では、市民が死亡例や重症例を相次いで投稿しており、専門家からは新たなウイルスが原因である可能性が指摘されている。

旧正月を目前に控えた中国では、人々の移動が活発化しており、感染拡大防止は極めて困難な状況にある。しかし、中国国家衛生健康委員会(衛健委)は1月18日の記者会見で、感染拡大の深刻さを軽視するような発言を行い、「これは通常の季節性インフルエンザであり、特別な事態ではない」と説明した。また、「最新のデータによれば、北部では陽性率が低下し始めており、南部の一部地域でも減少傾向が見られる」と述べた。

一方、中国のソーシャルメディアでは、アメリカなど他国でのインフルエンザ流行が深刻であるとの主張や、医療機関の負担が限界に達しているといった情報が拡散されている。

専門家の見解 新たなウイルスの可能性

米中健康管理協会(SAHA)会長兼医療顧問の岳紅文(がくこうぶん)教授は、1月8日のインタビューで、中国国内の感染状況について以下の2つの要因を指摘した。

  1. なぜ中国国内のインフルエンザ感染がこれほど深刻なのか。
  2. 急速に拡大する感染症に対してどのような予防策や治療法が有効なのか。

岳氏は「アメリカではこれほど深刻な感染拡大は見られず、インフルエンザを含む感染症で医療機関が混乱に陥る状況にはなっていない」と述べた。また、中国で新型コロナ規制が緩和された後に再び大規模な感染が発生し、特に今年が深刻である理由について以下の可能性を示した。

1. 過度な封鎖政策による「免疫の空白」

「中国は厳格な感染対策を取った結果、日常的に病原体に接触する機会が減少し、免疫力が低下する『免疫の空白』が生じた可能性がある」と岳氏は指摘した。この結果、突然の規制緩和後に感染が急拡大した可能性があるという。

2. 新たなウイルスの出現

岳氏はさらに、「今回の感染拡大が新たなウイルスによるものである可能性も否定できない」との見解を示し、「専門的な分析を行えば、現在流行しているのが既存のインフルエンザなのか、新しいウイルスなのかを見分けることができるはずだ」と述べた。

実際、多くの患者が「どのウイルスに感染しているのかわからない」と訴えており、診断結果がインフルエンザA型やB型、新型コロナウイルスの他、肺炎を発症するマイコプラズマ感染症のいずれにも該当しないケースが増えている。しかし、病院ではこれらを「インフルエンザA型」として治療する例が多いという。

感染拡大と症状の悪化

上海在住の70代男性は大紀元の取材に対し、「甥が働いている幼稚園では感染者が多数発生し、全クラスに感染者がいるため、幼稚園は冬休みを早めざるを得なかった」と語った。また、上海の小児病院では救急外来が患者で溢れ、処方された中国製ジェネリック薬「オセルタミビル」は品質が低く、子どもが服用するとすぐに吐き出してしまい、効果が得られなかったという。

「医師は『これしかない』と言ったため、自分で輸入薬を探したが、ネットではほとんど見つからない。以前は60〜70元だったインド製ジェネリック薬も、現在は500〜600元に値上がりし、それでも手に入らない。さらに、オリジナルの輸入薬は数千元もするが、こちらも入手困難だ」と述べた。

政府の対応と市民の不安

SNS上では、多くの市民が「今回の感染症は新型コロナの規制緩和直後に感染した際よりも症状が重い」と訴えている。また、若年層や子どもがこの感染症で命を落としたという報告も相次いでいる。多くの患者が病院を訪れると即座に入院治療が必要だと診断され、一部は集中治療室で生命の危機に直面している。

しかし、中国政府はこれらの事態に対してほとんど言及していない。1月18日の衛健委の会見では、「今回の感染拡大は通常の冬季インフルエンザであり、特別な事態ではない」と説明するにとどまった。一方で、鳥インフルエンザ(H5N1)の監視活動や緊急対応訓練が進められている。

福建省福州市では「2025年福州市高致死性鳥インフルエンザ感染症緊急対応訓練」が実施され、江西省青山湖区では1月21日に鳥インフルエンザ外部環境のサンプリング監視が行われた。また、山西省迎沢区の疾病予防管理センターでは1月15日に「2025年度第1回 ヒトと鳥インフルエンザ監視活動」が実施されている。

旧正月に伴う帰省ラッシュと規制復活への不安

多くの地域では旧正月に伴う帰省者の情報収集が進められており、地元の管理組織が住民に対して帰省者に関する詳細な情報提供を求めている。また、旧正月に帰国した華僑の女性によると、飛行機が到着した際に一部の乗客はPCR検査を受け、結果が出るまで空港で待機させられたという。

彼女は「まるで2019年に戻ったようで、再び厳しい規制が復活するのではないかと非常に不安だ」と語った。

駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。