トランプ氏就任 国内で強硬策 対外的にも先手を打つ

2025/01/27
更新: 2025/01/27

1月20日、トランプ氏がアメリカ第47代大統領に就任し、欧州株と米国株が上昇し、祝賀ムードが広がった。就任から5日以内に、トランプ氏は死刑復活、「生物学的な男女」のみ、出生地主義の廃止、不法移民の米国入国阻止、ケネディ暗殺に関する機密文書の公開など、複数の大統領令に署名した。

国内政策では、住宅コストを引き下げ、インフレ抑制を重視し、電気自動車の補助金を撤廃し、アメリカの石油開発を進める方針を示した。対外的には、米国を世界保健機関(WHO)から脱退させ、ロシア・ウクライナ戦争に関してロシアに警告を発した。米中関係も注目を集めている。

1月20日、アメリか東部は暴風雪に見舞われたが、議会議事堂に米国国旗が掲揚され、国民はトランプ氏の復帰を熱烈に歓迎した。

トランプ大統領は次のように述べた。
「米国の『黄金時代』は今この瞬間から始まる。これからは、我が国は繁栄し、再び世界中から尊敬されるようになるだろう」

トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いた初日、約100の大統領令に署名し、2日以内に12の覚書を発表した。また、バイデン前大統領が署名した多数の大統領令を廃止し、「アメリカファーストの貿易政策」を確立した。

‧国内政策 連邦政府の「DEI」プログラムの廃止、死刑制度の復活、性別を「生物学的な男女」のみとする、出生地主義の廃止、連邦審査制度の終了、政府職員のオフィス勤務義務付け、連邦政府の新規雇用凍結など。

国家安全保障 米メキシコ国境への軍派遣、難民の受け入れを停止、不法移民の即時追放、麻薬カルテルをテロ組織に指定、フェンタニル蔓延との戦い。

‧国際組織 パリ協定とWHOからの脱退。

経済政策 TikTok禁止令の延期、連邦公有地での石油・天然ガス採掘拡大、液化天然ガス輸出の再開、電気自動車と充電ステーション建設の取り消し、中国からの自動車部品・バッテリー材料輸入禁止、洋上風力発電プロジェクトの中止。

‧機密解除 ジョン・F・ケネディ大統領、弟のロバート・ケネディ元上院議員、米公民権運動の黒人指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺に関する機密文書

‧廃止 トランスジェンダーの軍務服役、キューバのテロ支援国家リストからの除外、気候規制

米国はエネルギー政策の大転換とともに移民政策も継続した。トランプ氏の就任翌日、国防総省は1500人の米軍兵士を南部国境に派遣した。

トランプ氏は移民税関執行局(ICE)に学校や教会の捜索を許可し、不法移民の潜伏場所を特定し、23日には、ICEが性的暴行、強盗、暴力の前科を持つ538人の不法移民を拘束した。

翌日(1月24日)、ホワイトハウス報道官カロライン・リービット氏は、「史上最大の送還作戦は既に始まっている」と発表し、トランプ大統領が世界に強力で明確なメッセージを送っていると表明した。それは、不法に米国に入国すれば深刻な結果が待っているというものだ。声明には、不法移民が軍用機に乗り込む写真が添付されていた。

トランプ大統領は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、米国が高止まりするインフレと戦っているため、一連の大統領令に署名したと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。
「これはほぼすべての商品とサービスのコストを引き下げ、米国を製造業の超大国、AIと暗号通貨の中心地にするだろう」

TikTokユーザーは、18日「TikTokは現在利用できない」と述べている。

ByteDanceがTikTokの売却を拒否したため、19日にバイデン前政権の禁止令が発効された。しかし、トランプ氏は就任後に、1億7千万人のユーザーを擁するこのアプリを一気に消滅するのではなく、誰かがTikTokを買収してくれることを期待して禁止措置の実施を延期した。 

米民主党のマリア・エレイン・キャントウェル上院議員は22日、次のように述べた。
「中国側との合弁がこのアルゴリズムの問題を修正できるかは不明だ。彼らはこのプログラムを所有し続け、影響を与え続けることはできない。そのため、大統領と同僚の皆さんがこの問題の解決を促進することを願っている」

就任当日、トランプ氏は「アメリカファーストの貿易政策」に署名し、米国の国際貿易における不公平さを是正するよう求めた。

新たに設立された「外国歳入庁」は、2月1日からカナダとメキシコに25%の関税を課すと予告した。

トランプ氏は次のように述べている。
「我々は中国に10%の追加関税を課すことを検討している。なぜなら、彼ら(中共)はカナダとメキシコにフェンタニルを輸出しているためだ」

今後、800ドル以下の小口貨物には関税が課されず、簡単な手続きだけで輸入できる免税制度を廃止する。フェンタニルの原料が紛れ込む可能性があるためだ。

しかし、米国の貿易赤字の大部分は中国から来ており、中国の2024年の貿易黒字は約1兆ドル(9920億ドル)に達し、そのうちの3分の1が米国との貿易からだった。

トランプ第一次政権では、中共は米国との合意に基づく購入額を履行しなかった。

第二次政権では、米超党派が1月23日に中共の最恵国待遇を取り消す法案が提出された。

トランプ氏は、対中貿易に関する5つの調査を開始すると発表した。これには米中貿易協定、301条項の調査、潜在的な関税、中共のその他の行為や地下活動、最恵国待遇、知的財産権が含まれる。

対中関係では積極的な動きは見られないが、トランプ氏が3500億ドルの貿易赤字を解消するためにEUに関税を課すことや、グリーンランド、パナマ運河に関する政策を策定していることから、中共の不正行為を見逃さない意向が伺える。

トランプ氏は次のように述べた。
「最も重要なのは、中国がパナマ運河を運営していることだ。我々はそれを中国に渡したのではなく、パナマに渡したのだ。今、我々はそれを取り戻そうとしている」

中共は副主席の韓正を大統領就任式に派遣し、バンス副大統領と会談した。公式声明によると、両者は貿易バランスや地域の安定性について協議した。

米国の常識学者で、時事評論家の方偉氏は「イデオロギーの観点から、トランプ氏が中共を倒す強い意志を持っているとは限らないが、それでも問題ない。トランプ氏は公平な貿易と相互に対等な関係を求めており、それだけで中共が米国から搾取している利益を止めることができるからだ。これだけでも中共にとって大きなプレッシャーとなる」と述べている。

1月23日、トランプ氏はダボス会議で、米国が再び強力な主権国家になることを強調し、投資誘致も促した。

トランプ氏は次のように述べている。
「米国で製品を製造してほしい。我々は世界最低の税率を提供する」