「中国とアメリカ間の中立は幻想」 余茂春氏が警告

2025/01/27
更新: 2025/01/27

余茂春氏は、「世界が中国アメリカの間で中立を保つことは幻想にすぎない」と述べ、トランプ大統領の再選が中国共産党(中共)との対決においていかに重要かを強調する。彼の見解によれば、中立の立場は中共の権威主義的な野心を助長するだけでなく、自由民主主義国家の未来にとっても重大な脅威である。

「トランプの第2期が以前の政治的遺産を強化するか破壊するかは、アメリカの民主主義に対する最大の生存脅威である中共(CCP)を打ち負かすことに大きく依存しており、トランプがこの脅威に立ち向かう決意が今後の重要な課題となるだろう」と余茂春氏は『ワシントン・タイムズ』に寄稿した。

余茂春氏は、中共に勝利するための計画の重要な側面の一つは、世界の「中立」認識を終わらせることだと提言する。多くの国がアメリカと中国の間で「中立」を保とうとしているため、自由国家の未来にとって、この「立場」を終わらせることは重要かつ不可欠である。

余茂春氏は「中立」の立場の5つの誤りを挙げる。彼はトランプ第1期政権時に国務省の中国政策立案の首席顧問を務めていた。

第一に、中立は本質的に共謀行為である。

余茂春氏は、ある国が自らを「中立」と称することが、実際には基本的な事実を無視していると考えている。この「中立」という立場は、実際には特定の側を支持しており、通常は誤った側を支持している。この場合、アメリカと共に立たないことは、中共の権威主義的な野心を助長するだけである。もちろん、アメリカは完璧ではないが、自由民主主義の価値観を代表している。

「北京は曖昧な言葉を好み、特に東南アジアやアフリカで小国を利用して影響力を行使しようとしている」と余茂春氏は述べる。「中立の立場は、中共の行動を容認し、人権侵害や南シナ海での軍事拡張、国際規範を破壊する行為を黙認することになる」

第二に、中立は実用主義の代名詞として偽装されている。

余茂春氏は、中立を支持する人々が非同盟によって自国が地政学的対立の両側から利益を得られると考えていると述べる。しかし、この見方は中国への過度の依存の危険性を無視している。

振り返ると、かつて中立を宣言していた多くの国が、今や自国の利益を考慮してアメリカとの同盟を再構築している。これは、中共に屈することによる長期的なリスクに気づいたからである。

第三に、支持者は中国市場の魅力を中立の理由として挙げる

支持者は中国市場の魅力を中立の理由として挙げるが、余茂春氏はこれが危険な誤解であると指摘する。中国市場は未開発の黄金の宝庫とされてきたが、実際には警戒が必要である。中国市場には厳しい規制があり、参入障壁が高く、厳しい許可要件や強制的な技術移転、不透明な法制度など、外国企業にとって不利な要素が多い。

今日の中国では、消費支出が大幅に減少し、特にテクノロジーや消費財において消費者が国内製品を好む傾向が強まっている。その結果、外国企業の競争優位性は、ほぼ消滅している。

また、中共は補助金や保護主義的措置を通じて国内のチャンピオン産業を支援し、これが外国投資の収益性をさらに低下させている。知的財産権の窃盗行為が蔓延し、外国企業の長期的な生存能力を脅かしている。

これらの要因は、中国市場がその支持者が主張するほど開放的で利益をもたらすものではないことを示している。

対照的に、アメリカ経済は力強く回復しており、これは主に民間企業、財産権、自由市場競争などの制度的優位性によるものである。

中国が不動産崩壊し、株式市場の暴落、外国貿易の減少などの経済的挫折に直面している一方で、アメリカ経済は繁栄を続けている。

アメリカはすでに中国に代わって、日本、ドイツ、韓国、ASEAN諸国、台湾などの主要なグローバルプレーヤーの最大の貿易相手国となっており、この傾向は続いている。

「(共産主義)中国の未来に対する盲目的な楽観主義は誤りであり、最終的には自殺行為だ」と余茂春氏は警告する。

第四に、中立は各国の国家安全保障と主権を危険にさらす。

中共の侵略行為(南シナ海での侵入や台湾への脅迫行為を含む)は、他国の主権に対する明白な軽蔑を示している。

余茂春氏は、中立の立場を取る国々、特に中国に近い東南アジアの国々が、中共の拡張主義的な計画の道具となる可能性があると警告する。中立を選ぶことは、実際には自国が弱いというシグナルを発信し、さらなる侵略や領土侵犯を招く恐れがある。

最後に、アメリカ側に立つことは道義的責任であり、戦略的・経済的な考慮に加え、道徳的な必要性も考慮しなければならない。

余茂春氏は、アメリカにも歴史的な欠点があるが、依然として自由、民主主義、人権の理想を提唱する正義の力であると述べる。

一方、中共の人権記録における抑圧は広く知られており、ウイグル族ムスリムへの迫害や言論の自由の抑圧、市民に対する権威主義的な統制が含まれる。

「この思想的闘争において中立を保つことは道徳的に受け入れられず、自由社会を支える基本的な価値観に対する無関心を示している」と彼は記す。

余茂春氏は、世界は中国とアメリカの間で中立でいるという幻想を捨てるべきだと提言する。

「トランプ大統領の指導の下、アメリカは世界の力を結集して中共に対抗し、民主主義、自由、人権の力と共に立つことを確実にしなければならない。トランプ陣営に加わり、自由の価値観に反する政権との同盟という偽りの約束を拒否する時が来た」と彼は最後に述べた。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
林燕