鹿児島県西之表市の馬毛島で進められている自衛隊基地整備の工事が急ピッチで進んでいる。防衛省が1月23日に発表した最新の数字によると、工事に従事する関係者の数が5千人を超えた。
具体的には、昨年12月23日時点で工事関係者の総数が5010人に達し、前回の発表から160人増加した。この数字は、2か月前の10月31日時点と比較したものだ。
工事関係者の内訳を見ると、馬毛島本島で働く人数が3030人となっており、これは前回の発表から170人増えている。馬毛島で働く全ての人が島内の仮設宿舎に滞在している。
一方、隣接する種子島では1980人の工事関係者が滞在しており、これは前回の発表から10人減少している。種子島での滞在先の内訳は、宿泊施設が170人(20人減)、賃貸物件が420人(10人増)、仮設宿舎が1210人(30人減)、自宅などが180人(20人増)となっている。
馬毛島での工事の進捗に伴い、仮設宿舎の整備も進んでいる。防衛省の発表によると、2月頃までにさらに620室を増設し、合計で約3650室の仮設宿舎を整備する予定だ。
この馬毛島基地整備は、南西諸島における自衛隊の活動・訓練拠点として、また島嶼部に対する攻撃への対処拠点として計画されている。当初の計画では2023年1月12日の着工から約3年で完成予定だったが、現在は工期が延長され、2030年3月末までとされている。
工事の規模が大きいことから、地元では古くから続く暮らしや産業への影響を懸念する声もある。西之表市は防衛省に対し、工期延長に伴う影響等について要望書を提出するなど、地域と国との間で継続的な協議が行われている。
基地整備の目的
馬毛島における自衛隊基地整備は、中国の軍事的拡大を念頭に置いた防衛戦略の一環であると考えられる。この基地整備の背景には、中国の海洋進出に対する日本の防衛態勢強化がある。馬毛島が位置する南西諸島周辺は、中国の艦艇が頻繁に通過する海域であり、防衛省が警戒を続けている。直接的に中国を名指ししているわけではないものの、中国の軍事的拡大を主要な要因として考慮した上での防衛政策の一部であると言える。
馬毛島における自衛隊基地整備の主な目的は、南西諸島における自衛隊の活動・訓練拠点を確保すること、島嶼部に対する攻撃への対処拠点とすること、米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を東京都の硫黄島から移転すること、陸海空自衛隊による訓練を年間を通じて実施すること、整備補給等の後方支援施設としての機能を持たせること、などである。
防衛省は、馬毛島に自衛隊基地を整備することで、日本の平和と安全に大きな意義があるとしている。また、大規模災害発生時には、この地域における救援活動がより的確に行えるようになるとも説明している。
この大規模プロジェクトは、一つの島を自衛隊基地に変える国家プロジェクトとして注目を集めている。
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