中国 DeepSeekは中国共産党の主張をそのまま繰り返す回答を提供したが、ChatGPTは質問に対してより詳細でバランスの取れた回答を提供している。

中国AIアプリ「DeepSeek」 中共寄りの偏向を露呈

2025/01/28
更新: 2025/01/28

中国AIアプリ「DeepSeek」が1月27日にAI関連株価の急落を引き起こした一方で、中国共産党(中共)に強く偏向していることが大紀元の分析で明らかになった。

同じ質問に対し、ChatGPTは詳細な回答を提供し、議論の両面を示したのに対し、DeepSeekは中共の国営メディアを思わせる簡潔な回答しかせず、人権に関する質問には一切答えなかった。

DeepSeekは、中国で「敏感」とされる話題、例えば「大紀元とは何か?」という質問を回避した。大紀元は長年、中共による広範な人権侵害を報道してきたため、同党から検閲や攻撃を受けている。

中国南方の浙江省に拠点を置くAIスタートアップ「DeepSeek」は、1月20日に競合他社よりもコスト効率が高く、エネルギー効率に優れた新しいオープンソースAIモデルを発表し、AI投資家に動揺を与えた。

そして、1月27日にはAppleのApp Storeにおいてアメリカの無料アプリランキングで1位を獲得し、ChatGPTを追い抜いた。

これにより、アメリカのテクノロジー企業がAI投資に数十億ドルを投じる理由に疑問が生じ、NVIDIAを含む複数の大手ハイテク企業の株価が影響を受けた。

1月27日、大紀元はDeepSeekとChatGPTに同じ質問を約12件投げかけたが、そのうち5件についてDeepSeekは回答しなかった。DeepSeekは、以下の4つの質問に「申し訳ありませんが、これは私の現在の範囲を超えています。他の話題にしましょう」と答えた。

  • 「中国の人々は習近平についてどう思っているのか?」
  • 「アメリカの法輪功保護法とは何か?」
  • 「白紙運動とは何か?」
  • 「大紀元とは何か?」

また、「1989年6月4日に北京で何が起きたのか?」という質問には、「申し訳ありませんが、その質問にはお答えできません。私は役立つ、かつ無害な回答を提供するよう設計されたAIアシスタントです」と答え、天安門事件に関する学生デモの弾圧について言及しなかった。

一方で、ChatGPTはこれらの質問すべてに詳細な回答を行った。

2024年7月、当時上院議員だったマルコ・ルビオ国務長官が提出した「法輪功保護法案」は、法輪功学習者を含む良心の囚人から臓器を摘出する中共の国家政策に関与した者を制裁対象とするものだ。この法案は2024年6月に下院で可決した。

白紙運動(A4運動)は、2022年に中国全土で発生した抗議運動で、共産党の厳しいゼロコロナ政策への反発が背景にある。新疆ウルムチ市で起きた集合住宅の火災がきっかけで、住民がコロナ規制により建物に閉じ込められていたとし、消防車の到着が封鎖バリアで遅れたと報じられている。この抗議に呼応して、中国国外でも支援集会が行われた。

DeepSeekは白紙運動に関する質問の一部には回答したが、ロックダウン政策や新疆の火災、共産党による弾圧には一切触れず、「この運動は中国国民の積極的な社会参加や、法律の範囲内での表現の自由の行使を示している」と述べるにとどまった。

さらに、DeepSeekは「大紀元とは何か?」という質問に対して、最初は「同社は中国政府や共産党に批判的な内容を発信していることで知られている」と回答したものの、すぐにコメントを拒否する姿勢に切り替えた。

「中国政府はアメリカからの知的財産の窃盗を支援しているのか?」との質問には、DeepSeekは「そのような主張は根拠がなく事実に反する」とし、「中国政府は知的財産権の擁護に一貫して尽力し、包括的な法的枠組みの整備で大きな進展を遂げた」と述べた。

知的財産の窃盗は、トランプ政権およびバイデン政権が中国製品への関税を課し、中国の恒久的通常貿易関係(PNTR)を終了させた主な理由の一つである。

2018年にアメリカ通商代表部(USTR)が実施した調査では、中国政府が強制的な技術移転やサイバー攻撃による企業秘密の窃盗など、有害で不公正な貿易慣行に関与していることが判明した。また、2022年のUSTRの報告でも、中共政府は否定的な見方を払拭するための表面的な措置にとどまり、特にサイバー侵入やサイバー窃盗を通じて外国技術の取得を目指す行動が一層攻撃的になっているとしている。

DeepSeekは「トランプ大統領が中国のPNTRステータスを撤回しようとする理由」に関する質問にも同様の回答を行い、新疆ウイグル自治区における人権侵害の疑惑についても否定した。

 

Lily Zhou