トランプ大統領、中国AI企業 DeepSeekの技術革新に警鐘

2025/01/28
更新: 2025/01/28

1月27日、トランプ大統領は、フロリダ州マイアミのトランプ・ドラル・ナショナルリゾートで行われた共和党議員の会合「議会研究所」において、中国のAI企業DeepSeekの行動が業界に混乱をもたらす可能性があると警告した。

「中国企業の『DeepSeek』 AIの公開は、我々の産業にとって目を覚ますべき警鐘であるはずだ」とトランプ大統領は述べた。「我々は競争にレーザーのように集中する必要がある。なぜなら、世界で最も優れた科学者は我々の側にいるからだ。中国の指導者たちでさえそう言っている」とも付け加えた。

大統領は、他国のAI企業が、より低コストかつ迅速にトレーニングや処理を可能にするブレイクスルーを達成したというニュースは予想外だったと示唆した。

「DeepSeekのような企業が何かを成し遂げたと聞くのは非常に珍しいことだ。我々は常に最初にアイデアを持ち、常に先頭に立ってきた」と語った。

DeepSeekの台頭とその影響

DeepSeekは、中国のヘッジファンド「High-Flyer」の共同創設者であるリャン・ウェンフェン氏によって2023年に設立された、無料のオープンソース型言語学習モデルを提供する企業である。同社の技術は、市場で知られるいくつかのクローズドソース型モデルと比較可能とされている。

報道によると、DeepSeekのトレーニングコストは約600万ドルとされており、これは米国で近年開発された類似モデルのコスト(1億ドル以上)と比べるとごくわずかな金額に過ぎない。トランプ大統領は、この情報が事実であるならば、米国企業も同様の効率を実現できる可能性があると楽観的な見解を示した。

「もし事実であれば、そして本当であれば、それはポジティブなことだと考えている。我々も同じことを行い、これまでほど費用をかけず、同様の結果を得られるだろう」と述べ、「米国のテクノロジー企業を解き放ち、これまでにない形で未来をリードするつもりだ」と強調した。

一部のテクノロジー専門家は、DeepSeekの技術革新を歴史的な技術的ブレイクスルーに例えている。ネットスケープ共同創設者である億万長者のマーク・アンドリーセン氏は、1月26日にSNS「X」で「DeepSeek R1は、AIにおけるスプートニク時代(1960年代の米ソの宇宙開発競争時代)のような画期的な瞬間だ」と投稿した。

AI分野における米国および世界のリーダーと目されるエヌビディアの株価は1月27日に17%近く急落し、時価総額5890億ドルが消失した。これは1社当たりの1日あたりの損失としては過去最高を記録した。 

他の銘柄も影響を受けており、半導体メーカーのブロードコムは17%以上下落し、AIインフラ企業のバーティヴは29%近く下落した。

一方でDeepSeekは27日に大量の登録申請と一連のサイバー攻撃に見舞われ、活動を制限せざるを得なかったと報じられている。

外国貿易と安全保障に対する警告

この技術革新がもたらす経済的・財政的影響を受け、議員の中には同盟国や敵対国との貿易基準の見直しを求める声も上がっている。

マイク・ジョンソン下院議長は、共和党議員の会合で「中国は非常に悪い貿易相手であり、システムを悪用し、我々の知的財産を盗んでいる」と述べた。また、DeepSeekの技術やその他のAIインフラに言及しながら、「中国がAI分野でリードしようとしている状況を目の当たりにした。我々の経済や安全保障にとって深刻な脅威だ。大統領はこれを真剣に受け止めており、適切な方法で対処するだろうと思う」と警告した。

自己検閲

一方、大紀元の検証では、DeepSeekの答える内容は中国共産党(中共)に強くっているとされる。同様の質問に対して、ChatGPTは詳細かつ双方の意見を提供するのに対し、DeepSeekは簡潔な回答を行い、中共の官製メディアに類似した内容を示す傾向がある。また、DeepSeekは人権に関する質問に答えることを拒否したという。

1959年に米国のダートマス会議で「AI」という言葉が生まれて以来、専門家によれば米国は技術開発のあらゆる面でこの分野をリードしてきた。トランプ大統領は1月21日に、AIインフラ整備のために民間部門から5千億ドルの投資を行う計画を発表し、引き続きAI分野で世界をリードする決意を示している。