トヨタ自動車の労働組合は2025年の春季労使交渉(春闘)に向けて、過去最高水準の賃上げを求める方針を明らかにした。1月28日に愛知県豊田市で開かれた記者会見で、鬼頭圭介執行委員長らが要求内容を公表した。NHKなど日本の複数の大手メディアが報じた。
労働組合の要求案によると、ボーナスにあたる一時金については、前年と同じく過去最高となる月給の7.6カ月分を求める。これは2024年春闘で獲得した水準と同等であり、経営側が満額回答した実績を踏まえたものと見られる。賃上げについては、「職種別」や「資格別」の枠組みで要求を行い、最も高いケースで月額2万4450円の引き上げを求める方針だ。この金額は、前年の春闘で要求した水準と同等であり、比較可能な1999年以降で最高水準となる。
ただし、今回の要求では、ベースアップ(ベア)に相当する部分の具体的な金額は公表されていない。これは昨年から続く傾向であり、トヨタ労使が従来の春闘における相場形成の役割から一歩引いた姿勢を示していると考えられる。
トヨタ労組の要求案は、2月7日に正式に決定される予定だ。この要求内容は、日本の労使交渉の先駆けとなることが多いトヨタの動向として、他の企業や業界にも影響を与える可能性がある。
今回の要求は、継続的な賃上げの流れを維持しつつ、労働者の生活向上と企業の競争力強化のバランスを図ろうとする労使の姿勢を反映したものと言える。今後の交渉の行方と、他企業への波及効果が注目される。
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