連邦補助金と融資一時停止へ 共産主義的イデオロギーの排除に向けた審査を開始

2025/01/29
更新: 2025/01/29

ホワイトハウスは1月28日から、トランプ政権は連邦補助金や融資を一時停止し、共産主義的思想の排除を目的とした包括的な審査を実施すると発表した。

ホワイトハウス行政管理予算局の代理局長、マシュー・ヴェス氏は、内部覚え書の中で「連邦資金を使用して、マルクス主義的な平等観、トランスジェンダー主義、グリーン・ニューディールに基づく社会介入政策を推進することは、納税者の資金の無駄遣いであり、国民の生活向上には寄与しない」と述べた。

ヴェス氏は、すべての支出がトランプ大統領の行政命令に準拠する必要があると強調。その行政命令は、トランスジェンダーの権利、環境正義、多様性・公平性・包括性(DEI)に関するバイデン政権下の施策を撤回することを目的としている。

AP通信によると、この措置による資金の凍結額は数兆ドル規模に及ぶ可能性があり、医療研究や教育プログラムを含む幅広い事業に影響を及ぼす見込みだ。 すでに承認されているが未支出の補助金も、対象となる可能性があるという。

トランプ大統領は就任初日に、大統領令を次々と発令。政府機関におけるDEIプログラムの廃止や、バイデン政権が推進してきた「グリーン・ニューディール」の撤回、そして性別を男性・女性の二つに限定する政策を打ち出した。この一環として、政府機関が「ジェンダー・イデオロギー」の推進に連邦資金を使用することを禁止する方針を決定した。「ジェンダー・イデオロギー」という言葉は、性別やジェンダーに関して伝統的な価値観にとらわれない見解や思想を推進する広義の概念として使われる。

ヴェス氏は覚え書の中で「各機関は、自らの連邦財政支援プログラムを全面的に見直し、大統領令の影響を受ける可能性のあるプロジェクトや活動を特定しなければならない」と指示した。

民主党、資金凍結の合法性を問題視

この覚え書が発表された27日、民主党からは強い反発が相次ぎ、トランプ政権の決定に緊急警告を出した 。

上院少数党院内総務のシューマー氏は同日夜、「この措置は、全米の地域社会を支える重要な資金を事実上凍結するものであり、その合法性には疑問がある」と批判した。

シューマー氏は、「これらの投資はすでに議会で承認されており、任意ではなく法律で定められたものだ。これらの補助金は、赤い州(共和党の支持が強い州)と青い州(民主党の支持が強い州)の両方に恩恵をもたらし、家族を支え、親が子共を育てる手助けをし、より強い地域社会の構築に貢献している」と主張した。

覚え書によると、メディケア(高齢者向け医療保険)や社会保障給付は今回の措置の影響を受けないとされている。しかし、メディケイド(低所得者向け医療扶助)、フードスタンプ(食料支援)、災害支援などへの影響については言及されていない。

また、覚え書の中では「法律の許す範囲内で」凍結措置が実施されるとしている。

ヴェス氏は27日の覚え書で、この一時凍結は1月28日午後5時(日本時間29日午前7時)から開始すると明言したが、直前に連邦裁判所がこれを差し止めた。

李皓月