長野県と東南アジアの東ティモール民主共和国が、建設業を中心とした技能実習生の受け入れに向けて協力関係を深めている。国の発展に技術を得たい東ティモールと、人手不足に悩む日本の国際交流が、信州の建設業をきっかけに深まる可能性が出てきた。早ければ年内にも東ティモールからの技能実習生が信州で活躍する見込みだ。テレビ信州などが報じた。一方、日本の移民政策には様々な問題が浮上している。
1月28日、東ティモールのロジェリオ長官やイリディオ駐日大使が長野県を訪れ、阿部守一知事らと懇談を行った。この際、東ティモールの伝統衣装であるタイス(Tais)のスレンダー状のものを首に掛ける儀式が行われ、両国の友好を確認した。
懇談の中で、ロジェリオ長官は「特に現在、関心を持っているインフラ・建設・農業を含めた分野での協力関係がこの絆を通して広がっていけばいい」と述べ、日本の技術習得への期待を示した。
一方、阿部知事は「今、一番私どもが大きな課題としているのは人材の確保だ。東ティモールの皆さま方もぜひ長野県にお迎えさせていただき、地域社会でご活躍をいただければありがたいと思います」と話し、技能実習生の受け入れに前向きな姿勢を示した。
日本から南におよそ5千キロに位置する東ティモールは、長野県の1.1倍の面積に130万人余りが暮らす島国だ。2002年に21世紀最初の独立国となり、現在は国の発展に向けて若者たちが海外での技術習得に意欲を示している。
昨年10月には、日本国政府と東ティモール民主共和国政府が技能実習制度に関する協力覚書(MoC)を締結し、技能実習生の受け入れ体制が整備された。この協定を受け、長野県と東ティモールの協力関係が具体化しつつある。
県建設業協会の木下修会長は「日本に入って働いていただいて経験を積んで、一つには祖国に帰ってその経験・技術を生かしていただく道もありますし、もう一つは日本を気に入っていただいて日本に住んで、長野県に住んでいただくことも一つの選択肢かと思います」と述べ、技能実習生受け入れへの期待を語った。
この取り組みは、技術移転を通じた国際貢献と、日本の人手不足解消という両国のニーズを満たす。今後、建設業を中心に、農業など他の分野でも協力関係が広がる可能性がある。
日本における移民問題
日本における移民問題は、近年急速に顕在化しつつある社会的課題である。政府は長らく「移民政策」という言葉を公式には使用してこなかったものの、実質的には外国人労働者の受け入れを拡大している。2022年10月末時点で、日本における外国人労働者数は約182万3千人に達し、過去最高を更新した。これは2013年の71万8千人から10年間で2.53倍に増加したことを意味する。
この急激な増加に伴い、様々な問題が浮上している。まず、社会統合の課題が挙げられる。言語や文化の違いから、外国人労働者が日本社会に十分に溶け込めていないケースが多く見られる。また、労働環境の問題も深刻である。一部の外国人労働者が低賃金や劣悪な労働条件下で働かされているという報告もある。
特に問題視されているのが技能実習制度である。この制度は本来、途上国への技術移転を目的としているが、実際には安価な労働力の確保手段として機能しているという批判がある。人権侵害の疑いがあるケースも報告されており、国際的にも問題視されている。
さらに、地域社会における外国人コミュニティとの共生も大きな課題となっている。言語の壁や文化の違いから生じる誤解や摩擦、教育や医療サービスの提供方法など、多くの問題が山積している。
一方で、日本政府は労働力不足を補うため、外国人労働者の受け入れをさらに拡大する方針を示している。2023年には2025年までに外国人労働者を82万人受け入れる計画を発表した。これは従来の枠の2.4倍、実績値の4倍近くまで一気に拡大させる方針である。
しかし、この急激な拡大に対する社会的インフラの整備が追いついていないのが現状だ。言語サポート、住宅の確保、子供の教育、医療サービスの提供など、多岐にわたる課題に直面している。
また、日本は主要先進国と比べて難民の受け入れ数が非常に少ないという問題もある。これは国際社会からの批判の的となっており、今後の対応が注目されている。
2024年4月には残業時間の上限規制が導入されることに伴い、特に物流への影響が懸念される自動車運送業では、バスやタクシー、トラックの運転手などに外国人を新たに受け入れる方向性が示されている。しかし、言語の問題や運転免許の取得など、まだ多くの課題が残されている。
これらの状況から、日本は実質的に移民国家へと変貌しつつあり、それに伴う様々な課題に直面していると言える。社会統合、労働環境の改善、人権保護、そして地域社会との共生など、多くの問題に取り組む必要がある。
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